アルファサード株式会社 代表取締役 野田 純生のブログ


Movable Type 営業会議のフォローアップ(その1. ターゲットによってアピールポイントを変える)


公開日 : 2016-11-14 13:00:33


すいませんすいません、前の夜にちょっと頭にくることがあって明け方まで飲んでたらそのまま寝落ちしてしまい、翌日社員に電話で起こされたので十分な準備もできずお話ししてしまったので海より深く反省しつつ。

セッションの写真

伝えたかった、プレゼンに勝つための4要素

  1. ターゲットによってアピールポイントを変える
  2. CMS製品と同じだけ「会社」「プレゼンター」をアピールする
  3. 言い訳を用意してあげる
  4. 背中を押してあげる

誰にプレゼンするのか。部門ごとの注意点。

CMSの導入をどの部門が主導で行うかって実は結構バラバラです。代表的なものは次のような部門となります。

  1. 企画・広報・総務部門
  2. 情報システム部門
  3. マーケティング部門
  4. 営業部門や製造部門などのwebと直接関係のない部門
  5. 経営者自身

その他にメディア系企業では編集部とかネット専業企業の場合はそのものweb部門がある企業なんかもあります。

経営者へのプレゼンを行うか、否か

上記の5つの顧客ポジションのうち、最後の「経営者自身に対するプレゼン」ですが、これを行うかどうかは「どの市場を相手にビジネスを展開するか」という戦略と密接に絡んできます。ちなみにアルファサードでは経営者自身にプレゼンを行うことはほぼ皆無、実質ありません。これは、ライセンス料の値付けが関係しています。

  • PowerCMS Standard 5ユーザー 30万円
  • PowerCMS Professional 無制限ユーザー 60万円
  • PowerCMS Enterprise 無制限ユーザー 90万円
  • PowerCMS Advanced 無制限ユーザー無制限サーバー 180万円

当社のCMSは上記の価格です。これにオプションや初期構築などのSI、ケースに応じてインフラなどの構築コストが追加されます。

CMSのライセンス料金は、全体コストの20%が上限

CMSの場合、CMSを導入すればすぐにサイトの更新ができるようになるわけではありません。例外としては、CMSにあらかじめ用意されたテーマを使ってサクッとサイトを立ち上げるケースでしょう。WordPressなどはこのあたりに強みがあります。一方でPowerCMSの場合、用意されたテーマでサイトをそのまま運用し始めるようなケースは稀で、オリジナルのデザインのサイトをベースにガッツリつくり込むタイプのサイトが多いです。有償の商用CMSですから、このライセンスコストと初期構築のバランスをクライアントは意識されます。この、コスト感覚からいえば、私の経験値から「CMSのライセンス料金は、全体コストの20%が上限」という数字が感覚としては合っているように思います。つまり、Professional版なら初期構築の総予算300万円、Enterpriseなら初期構築の総予算450万円、Advancedなら900万円。

この規模の予算を用意する(できる)クライアントのweb担当者は、まずもって経営者ではありません。地方のサイト制作では経営者が直接ハンドリングする場合もあるでしょうが、そのケースで予算300万円を超えるケースは少ないと思います。よって、PowerCMSはライセンス金額の設定によって経営者が直接決定に関与する規模の案件、クライアントではなく、経営者以外の誰かが決定者である規模以上のクライアントをターゲットにビジネスしているということになります。必然的に東京が主戦場になります。

一方で、当社のようなメーカーの場合、直接エンドユーザーにプレゼンしない場合もあります。いわゆるCMSを提案する立場の以下のようなお客様んい対するプレゼンが必要なケースなどです。

  1. web制作会社
  2. 広告代理店(web部門、子会社など)
  3. SIer(子会社など)

テーマが広範囲に渡りすぎるので、このケースは一旦別の機会にゆずることにします。ここで検討するのは下記の4部門です。

  1. 企画・広報・総務部門
  2. 情報システム部門
  3. マーケティング部門
  4. 営業部門や製造部門などのwebと直接関係のない部門

企画・広報・総務部門はワークフロー重視、現場に負担をかけずに運用を良くする提案が響く

そこそこの規模の会社でサラリーマン経験がある方はおわかりだと思うのですが、いわゆる総務企画、広報といったバックオフィス担当、直接お金やモノを生み出さない部門の人は、一般に社内ではあまり力が強くありません。普通に考えればわかると思いますが、例えばトップセールス、お客様に支持されるために営業に接待に駆けずり回ってしかも成果を上げている部門の人やヒット商品を作るために商品を作っている人からすると「直接収益に貢献している自分たちがあって会社が成り立ってんだ」という思いがどうしてもあります。お客様の都合で予定が変わることなんかもざらですし、数字が悪ければ容赦なく社内の突き上げや上司からの叱責が飛んでくるわけです。そんな毎日の忙しさの中で総務部門の人がですよ?「すいません、今度CMSというのを導入して皆様にもほーむぺーじを活用してですねぇ、webでの情報発信をお手伝いいただくことになりました」なんて気軽に言えるわけないじゃないですか。どう言えたらいいと思います? それは、以下のようなセリフですよね。

「すいません、今度CMSというのを導入して皆様にもほーむぺーじを活用してですねぇ、webでの情報発信をお手伝いいただくことになったのですが、皆様にほーむぺーじのチェックいただいていたこれまでの手順は何も変わりませんし、Wordで社内報の原稿お願いするときあるじゃないですか、あんな感じで時々お願いするだけですので。あとは我々が頑張ってやることになりましたので」

くらいに留めたいわけです。ただでさえ気を遣うんですよ。営業部の山田さん(仮)や製造部の田中さん(仮)にお願いするのって。

なので、いわゆる間接部門、バックオフィス担当者へのプレゼンでは、圧倒的に「ワークフロー重視、現場に負担をかけずに運用を良くする提案が響く」わけです。

「みなさんの画面はこんな感じで多機能ですけど、コンテンツ投入担当者の画面はこんな風になります。シンプルですよね。権限を設定するとできない機能が画面から消えちゃうので、こんなシンプルな画面になるんですね。」

くらいは見せてあげる必要はあるでしょう。

また、承認フローだけじゃなくて、サイトの確認フェイズで直接部門の皆さんに負担をかけない工夫も考えてあげなければなりません。

  • 制作サーバー >> 確認用サーバー(ここのアドレスをメールして担当者にチェックもらう >> 公開サーバー

という運用をしていたとします。CMSになっても、これが変わらないのであれば、社内でイチイチ説明する必要すらありません。これ、すごく喜ばれます。

情報システム部門は「多機能」アピールが効く。でも意外に採用ポイントは社内ネットワークやセキュリティポリシーだったりする件

情報システムの方はそれはもう諸々詳しいです。他の製品のことも良く知ってる。多機能をそのままアピールしても情報処理能力が高いから消化できる。日々色々な社内のネットワークやシステムの課題に対処していくのが仕事ですからね。多機能のアピールがそのままできます。正直楽しいですよね、プレゼンしてても。

ところが、意外や意外、採用ポイントは社内ネットワークやセキュリティポリシーだったりすることが意外と多いわけですよ。DMZがどうとかVPNがどうとか、ネットワークなどのセキュリティに引っ張られたりする。なので、「スタティックにファイルを吐き出せる」Movable Type や PowerCMS はそれだけで有利だったりするんですよね。だから CMSプロレスとかで競合だったPHP+動的前提のCMSに対してはそれだけで優位性が出るときも多いわけです。ここ、実はすごく大きな優位性だったりするんですわね。

PowerCMS の Copy2Public プラグインや PowerSyncがなんで売れるのか。これ、顧客のネットワーク&サーバー構成を変える必要がないからなのですね。合わせられる強みです。ここは、企画広報部門に対する強みにも繋がります。運用ルールを変えなくていいからですね。

PowerSyncウェブサイト

また、個人情報の取り扱いに責任を負わされるのもこの部門だったりします。フォームなどのコンバージョンに関連する機能を提供するのもCMSには求められますから、このあたりに対する答えも用意しておく必要があります。Salesforceと連携するソリューションなどは、選択肢を示すという点でも有用なアピールポイントになります。

PowerCMS for Salesforceウェブサイト

マーケティング部門にはアクセス解析やMA、デジタルマーケティングの機能が響く。でも、拡張性の高さが実は一番響いたりする

旬ですね。今この分野がいろいろ熱いですが、例えばこのあたりの市場に対して自社だけででソリューションを提供するのは中々に辛いものがあります。例えば PowerCMS でも簡単なアクセス解析の機能を提供していますが、 Google Analytics などの高機能で普及しているソリューションと同等の機能を自社で開発するのは実際に割に合いません。であれば、そのあたりの競争力の高い別のソリューションと「つなぎ込める」懐の広さ、拡張性の高さがアピールポイントになります。PowerCMSでは、Google Analytics、Salesforce、FacebookやTwitterなどと連携するソリューションがありますし、REST APIなどを通じて他のソリューションと連携する機能も豊富に用意されています。開発も簡単にできる。ここをアピールすることが響きます。

営業部門や製造部門などのwebと直接関係のない部門はとにかくシンプルで「多機能」の逆を行くこと

情シス部門や、企画広報部門、マーケティング部門と真逆で、ここへのアピールはとにかく「シンプルで負担が増えないこと」です。管理画面のボタンは少なければ少ない方がいい。多機能なソフトウェアが導入されて学習コストを負担するなんて、実際ごめんです。CMSプロレスで示したのはまさにこれです。多機能をアピールすると、学習コストへの抵抗と仕事が増えることに対する警戒心が生まれますし、そもそも消化できないです。「理系の情報処理能力」「文系の感覚的・直感的な好き嫌い」とかいうと反論きそうではありますが、情報が消化しきれなことを意識しなければなりません。

他言語サイトタイトルマッチでのカスタマイズ済みダッシュボード

CMSプロレスで工夫したあたりは以下の記事に纏めていますので、こちらも参考にしてください。

書ききれなかったので、後日続きを書きます。



このブログを書いている人
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野田 純生 (のだ すみお)

大阪府出身。ウェブアクセシビリティエバンジェリスト。 アルファサード株式会社の代表取締役社長であり、現役のプログラマ。経営理念は「テクノロジーによって顧客とパートナーに寄り添い、ウェブを良くする」。 プロフィール詳細へ