貴社の記者が汽車で帰社した。ー やさしい日本語では耳で聞いてわかりやすい言葉を使う。
公開日 : 2024-12-10 10:00:00
- この記事は やさしい日本語 Advent Calendar 2024 アイコン(別ウィンドウで開きます) の10日目の記事です。
「貴社の記者が汽車で帰社した。」こんな日本語を脳内で処理できるんですから、人間の脳ってすごいと思うのです。「庭には二羽鶏がいます。」「これチャウチャウちゃうんちゃうん(これはちゃうか。)」。
「やさしい日本語」の言い換えのポイントの1つに「漢語より和語を使う」というものがあります。実は弘前大学人文学部社会言語学研究室により、「やさしい日本語」の12のルールには記載されていません。強いて言うならば5番目の「動詞を名詞化したものはわかりにくいので、できるだけ動詞文にしてください」かな、とも思うのですが、とにかく載っていません。
「やさしい日本語」は相手の立場になって相手に伝わりやすいことばに言い換えるので、正解は1つではないと言えますが、この「漢語より和語を使う」のは、書き言葉ではなく「話し言葉」を考えた時に生まれた原則ではないかと思います。なぜなら、漢語には同音異義語が多いので、耳で聞いた時にその違いがわからないことがあるからです。
漢字と日本人 高島 俊男 (著)の冒頭にこんな例が載っています。
ある新聞記者からその中学生に関して何かの質問をされて、校長先生が「それは假定の問題でしょう」と答えた。それが、「校長は家庭の問題だと語った」と報ぜられて、校長先生は誤解をうけ、迷惑をこうむった、というのである。
(中略)
たとえば──「コーセン」にしましょうか。これをごくふつうの小型国語辞典でひいてみると、交戦、好戦、抗戦、光線、公選、口銭、工銭、香煎、鉱泉、黄泉、と十のことばがならんでいる。これをひっくりかえした「センコー」をひいてみると、穿孔、専攻、専行、戦功、浅紅、鮮紅、繊巧、先考、先行、潜行、潜航、潜幸、遷幸、線香、選考、銓衡、選鉱、閃光、とこちらは十八もならんでいる。無論なかには日常あまりつかわないことばもふくまれているが、よくつかうことばもある。これが「セーコー」であれ「コーセー」であれ、また「セーコン」であれ「コンセー」であれ、ことばの数は多いのやすくないのやいろいろだが事情は同様で、こういうことが無数にあるわけだ。上に「何千何万」と言ったのは決して誇張ではありません。
日本語の同音異義語、半端ないですよね。では、書き言葉では気にする必要はないのでしょうか?
視覚障害者は「音」で情報を得ている
書き言葉であっても、例えばウェブ上のテキストであれば視覚障害者はスクリーンリーダーで情報を読み上げます。つまり、聞いて理解する必要があるのです。と、いうことは、「漢語より和語を使う」てのは、書き言葉においても大切な視点になり得ると言うことです。「ひらがなで理解できる文章」を心がけるようにしましょう。
そいうえば、記事タイトルの「貴社の記者が汽車で帰社した。」を検索したら、以下のようなページを見つけました。ChatGPTには変換できなかったそうです。