やさにちウォッチの記事タイトルのつくり方
公開日 : 2021-12-06 17:20:00
- この記事は やさしい日本語 Advent Calendar 2021 アイコン別ウィンドウで開きます の第6日目の記事です。
アルファサードでは「やさにちウォッチ アイコン別ウィンドウで開きます」という「やさしい日本語についての情報をやさしい日本語で紹介する」オウンドメディアを運営しています。運用を開始したのは9月ですが、ほぼ平日は毎日1記事を掲載しています。
記事タイトルの付け方について
一般的なウェブページのタイトルの付け方(WCAG アイコン別ウィンドウで開きますでは「ウェブページには、主題又は目的を説明したタイトルがある。」)+ひとことで言ってしまえば「やさしい日本語」化の原則に従う、ということになりますが、「記事のタイトル」という意識と、毎日更新しているとサイトのコンテキスト、取り上げている話題から、どうしても「思い込み」で付けてしまうことがあります。
使ってしまいがちな「取り組み」「取りくみ」
修正前 : 「品川区の取りくみ LINEで情報発信」
修正後 : 「品川区が、LINEで外国の人のための情報を送っています」
「やさしい日本語の情報」を集めていると、どうしても自治体などの取り組みを紹介することが多くなります。そこで、付けがちなのが「〇〇市の取り組み」のようなタイトルです。「取り組み」という言葉自体がわかりやすいかどうか、ということもありますが、取り組みの中身は何なんだ、ということが見えたほうが記事の中身を想像できるため、望ましいと言えます。
しかも、修正前の「LINEで情報発信」って何なんだ、と思うのですが、これが「発信側の思い込み」です。やさしい日本語の情報を毎日さがして記事を作っていると、頭の中が以下のようになってきます。
- 外国人の支援のために自治体・行政が何らかの活動を行っている記事である、という前提
- 記事の中身がやさしい日本語について書かれているという前提
記事のタイトルは検索結果、ページ読み上げ時の最初、SNSでシェアされるものでもあります。記事の中身を端的に表すタイトルを心がけたいものです。
文末表現はです・ます調に統一するが、カギ括弧の中は変更しない
どうしても、ニュース、ニュースメディアのタイトルを真似てしまいがちです。新聞やWebメディアのタイトルは、ほぼ、だ、である調、もしくは体言止めが多いです(Webメディアの場合はできるだけ短い文字数の中に収めたいという事象もあるのでしょう)。NHKですらそうです。ここは、です・ます調に統一します。記事のタイトルにカギ括弧がくる場合、ほぼ、イベントタイトルやサービス名称などの固有名詞ですので、その部分は除きます。
修正前 : 「函館市で「災害時の『やさしい日本語』を考えよう」という勉強の会が開催される」
修正後 : 「函館市で「災害時の『やさしい日本語』を考えよう」という勉強の会がありました」
放送ニュースは新聞と違って地の文は「です・ます」調を使う。外国人が最初に学ぶ日本語も「です・ます」調であり,やさしい日本語に有利である。しかし,引用の場合には元の発言のまま「だ・である」調になっていることがある。
文脈によらない、他言語に正しく翻訳できるものにする
前述の「取り組み」の件とも繋がるのですが、やさにちウォッチでは週に1記事、やさしい日本語で書かれているネット上のニュース・リソースをまとめた記事を公開しています。「その週のやさしい日本語のニュースのリンク集」といったところです。NHKの NEWS WEB EASYや西日本新聞、わかりやすいニュース、高知新聞、朝日新聞の withnews などから抜粋しています。
当初、何も考えずに「やさしい日本語のニュースまとめ」と付けていました。何の違和感もなく。でも、これってよく考えるとおかしいですよね。取り上げているニュースのテーマは必ずしも「やさしい日本語」ではないからです(というか、そうでないことのほうがほとんどです)。
「やさしい日本語」が「ニュース」にかかっているように見えますから、「やさしい日本語について書かれた」「普通の日本語の」「ニュース」とも解釈できます。
こういう時は、機械翻訳で「相互逆翻訳」を繰り返すと面白いです。両者を比較すると、以下のようになります(Google翻訳を利用)。
- やさしい日本語のニュースまとめ : 相互・逆翻訳の結果「A brief summary of Japanese news(日本のニュースの簡単な要約)」
- やさしい日本語で読むことができるニュース : 相互・逆翻訳の結果「News that can be read in simple Japanese(簡単な日本語で読めるニュース)」
前者は意味が変わってしまいます。ということで、修正しました。
修正前 : 「やさしい日本語のニュースまとめ(XX月XX日〜XX月XX日)」
修正後 : 「やさしい日本語で読むことができるニュース(XX月XX日〜XX月XX日)」