「愛される会社」と「アクティブサポート」について考えてみた(セミナー雑感)。
公開日 : 2012-06-02 13:53:24
少し前になりますが、河野 武さんのセミナーに行ってきました。大阪ではなかなかないよ、ってのと(後の懇親会で伺いましたが最近京都に越してこられたとのこと)、Facebookで色んな方が勧められていたのがきっかけです。ちなみに河野さんは2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員をされています。2007年って実は僕の会社がMovable Typeの拡張CMSソリューションPowerCMSをリリースした年で、それからシックス・アパートさんとはセミナー何かでご一緒させていただくことが増えたのですが、ちょうどそのタイミングで退職されていて、入れ替わりで実はお会いするのははじめてだったりするのでした。
当日は講演を聞きながら「#oreore_hashtag」(オレオレハッシュタグ!w)をつけてTweetしてました。リンクはこちら。また、スライドについては河野さんのサイトでシェアされています。
「最高」か「最安」か「最愛」か
「最高」か「最安」か「最愛」かという話しはとても明快でわかりやすくて、「最高(Appleストア)」「最安(ヤマダ電機)」に勝つことはできる? という問い(できないよね、っていう誘導尋問的w)に対して「最愛」しか生き残れないよね、という話しをされました(最愛の例としてはジャパネットたかた を出されていました。河野さん的にはジャパネットたかたについてはリサーチ中と話しておられましたが)。
「最愛」というコンセプトには共感できるしその通りだとは思います。ただし第二部のアクティブサポートの話しからもわかるように、モノを売る企業、メーカー、大企業に対して、例えばアルファサードのような中小企業、且つ、労働集約的な受託業務部門(いわゆる人が提供するサービス)が相応の業務比率を占める企業では、必ずしも最高、最安を目指すことをあきらめる必要もないな、という感想を持ったことも事実。
どういうことかと言えば、我々のような業務では、実は常に最高、最安というポジションによって選ばれている面があるからです。
CMSで最高
という単純比較ではなく、
CMS × エンタープライズ系の機能 × 静的パブリッシュ可能 × 国産 × 有償サポート有、の中で「最高(最安)」
他にも「関西にサポート拠点のある」とか、様々な条件の掛け合わせて最高や最安は決まります。例えば「6月〜8月にカスタマイズの人的リソースを確保できる」みたいな、製品には直接関係のない条件を掛け合わせた中での最高もしくは最安。
ソーシャルメディア全盛の時代、これからは「最愛」だよね、と単純な頭で考えるのではなく、当然ですが、我々がどこで戦いどこで選ばれているのかをちゃんと定義できてなければアクティブサポートにしてもどう取り組むかの方向性が決められない。そういうことをちゃんとあわせて考える必要があるんだろうな、と思った次第。
大切なのはバランス。取り組むべきはサポートデスクか営業か、はたまた...
ツイートにも書きましたが「お客さんは友だちじゃない(距離感重要)」という言葉は非常によくわかる。空気感がわからないとすぐに炎上したりするのがTwitterなんかのソーシャルメディアだし。僕は炎上経験者wなのでそのへんのバランスは何となくわかるつもりですが、ソーシャル慣れしていない担当者(しかも企業アカウントでの発言は個人のそれとも違うわけですし)には難しいところもあって、そのあたりを何とかするのが河野さんなんかのお仕事なのでしょう。
講演の中で「営業がアクティブサポートすると行き過ぎる」「サポートデスクがアクティブサポートすると引き過ぎる」みたいな話しがあって、これも僕は実感としてよく分かる。ウチの場合、製品導入前の問い合わせのやりとりなんかで、技術的な内容をサポートに引き継ぐことが良くあるんですが、どうしてもサポート担当としてはリスク考えてしまって(導入決まってもトラブルや問い合わせ殺到したら自分がしんどい思いをする、但しそれだけだと売れない)、逆に売らんかなの営業が対応すると「大丈夫です! 買ってください」的な方向に行く。僕は、アクティブサポートを担当する人の立ち位置としては「広報」なんかどうだろうと思いました。営業でもなく、サポートでもなく。行き過ぎてもいけなくて、引きすぎてもいけない。そのあたりのバランスをとれるポジションの人が担当するのがいいのかな、と。
以下の事例なんかでも、営業やサポートデスクっていうより広報やマーケティング的な色合い強そうだし(必ずしもアクティブサポートの事例というわけではないですが)。
ソーシャルメディア活用の効果測定(KPI)
一般的にKPIの設定が悩ましいソーシャルメディア施策ですが、ローソンは明確でした。
- ローソントップページへ流入数
ソーシャルメディアから自社サイトへの流入数- ローソン公式アカウントからのリーチ数(現在81万人)
ソーシャルメディアのリーチ数(100万人が目標とのこと)- CRM Consumer Generated Merchandising
ソーシャルメディアにあるお客様の言葉を収集・分析し、商品開発、商品改変に活用する- 来店数、購買数
クーポン系施策では、クーポン活用時の併売率を見る
零細・中小企業のアクティブサポートは社長自らが行うべき
これは僕の持論です。やっぱり責任をとれる立場の人でないと思い切って行動できないし、企業レベルから考えても専任を置くのは難しい。兼任、+の業務ではなかなかうまくいかんのじゃないかと思う。アクティブサポートはそれなりに負担がかかる(物理的にも精神的にも)。そもそも、会社の風評や製品へのネガティブな印象なんかを一番気にしているのは誰か? 社長だしね。それに、効果が実感できれば継続すればいいし、できなければやめればいい。
オープンな場で解決できるものはオープンな場で解決した方がいい
例えば、下記のような発言があった時、このまま例えば「何でこれができないんだろう...」的な方向に行くのはやっぱり嫌なので、本来はサポートの方へ投げて欲しいな、と心情的には思うわけです。ちゃんと有償製品で専任のサポートを置いているので。
でも、サポートに投げてください(要は、問いあわせフォームやメール等、クローズな方で解決したいです)、ではなく、オープンな場でちゃんとケアできて課題が解決したら、そのやりとりは不特定多数の人の目に触れることになります。同じ解決できるのであれば、オープンな場で解決すべきだと思います。
セミナーの感想、というより自分の雑感みたいになってしまいましたが。ま、いっか。