アルファサード株式会社 代表取締役 野田 純生のブログ


CSS Nite shuffle - Web衰退時代とか。


公開日 : 2008-06-15 14:15:36


Web衰退時代をどう楽しむか

住太陽 vs 切込隊長 with 高木敏光

いやぁ、面白かったですよ。笑わせていただきました。切込隊長さん住太陽さんで「Web衰退時代をどう楽しむか」とかやってるんだもん。

# そのまま飲みに行ったらもっと面白かったんだろうけど、ハードな一週間で疲れもピークだったのでとりあえず昨夜はそのまま宿へ直帰でした。

*トークの内容についてはここらへんで見てくださいね。

要するにここは東京

トークの中でぶっちゃけ隊長の名指し発言とか住さんの過去とか、そんなのは大人だから僕は書かない :-p

会場における数少ない大阪人的な感想として、第一にあげておきたいのは『あぁ、ここは東京で「ど真ん中」な業界の話でもって「衰退」ってのを語ってるんだなぁ』ということだ。地方零細のWeb業界人としては (一応東京には出てるけど) 霞のようなものを食って生きているわけで、正直この部分の衰退を語られても関係ないなぁというのが前提。但し、田舎のひがみとかでは全然なくて、「大手クライアント→広告代理店→業界」って流れがやはり東京のマーケットの構造の大きな部分を占めているのであって、衰退も何も (トークの中にもあったけど) 効果があるかないかわからんし検証も出来ないものを何となく提案して好きな仕事やって金貰ってたツケが回ってきてるんだ、東京では。

大阪とか名古屋では

何でこんなことを第一に思ったかというと、週の前半は大阪名古屋のCSS Nite(日、月曜)行ってたわけで、そのギャップがすごくて面白かった(っていっちゃ怒られると思うが)から。

「名古屋(大阪)の大手クライアントが東京に発注投げて名古屋(大阪)で下請けやってる」とか「仕事がない」「予算がない」とか、おまけに「元気がない」とか。

# しかし参加人数が違うとはいえ、東京開催との反響とかフィードバックとの数の差はどうだ?

で、木曜日あたりに某所でのMtgで話していたことにも絡むんですが、「地方格差」みたいなことを言うわけです、地方の人は。ところがところが、衰退の時代、変化の時代には地方だろうが何だろうがチャンスはごろごろ転がっていて、例えば以下の住さんのエントリーにある「供給過剰と業界の成熟から単価が下落し続けている」「CMSや外国人の労働力が、一層単価を引き下げる」とかに注目してみると...

CMSや外国人の労働力が、一層単価を引き下げる

面白いのは「地方」では「格差」で「国際」になると「競争」になるんだな(もちろん国際的な地域格差ということも当然あるのだが、この手の話の中では「国際競争」とか「グローバル化」という話になる)。

「地方競争」という言葉はあまり聞かんのだよな。大阪と名古屋で東京のマーケットの仕事を奪う、とか聞かないものね。単価が下がったら物価の低い地域の方が有利だったりしないか? CMSが単価を引き下げるのなら、格安のCMSをマーケットに投入してもっともっと単価を下げてやって、成熟した? 東京の競合から仕事奪ってやるとかそんなこと言う人がもっと出てくると面白いと思うんだけど。

供給過剰と業界の成熟から単価が下落し続けている

そうなの? 業界が成熟しているとはどうにも思えなかったりするな。実感がない。一例だけど例えば「Webディレクター至上主義」的な考え方とかに違和感があるんですよ。

発注側は確実に変化していて、事業に本気なところ程社内にそういった部門をツクり、組織化しようとしているように感じます (そういったクライアントと仕事をすることが増えています)。

これは即ち「制作会社の人間にそんなものを期待しない」という流れです。そうなった時に、クライアントが制作会社、制作プロダクションに求めるものは何でしょうか? 大した力もなくクライアントの担当者程本気でもない上流工程の『知識集約型』人材でふくれあがってコスト競争力の無くなった制作会社を切る * ことか、数少ないウェブ業界の『知識集約型』仕事をこなせる人材を引き抜くかです。

* そのかわりに (例えば) クライアント自身の立てた事業戦略をスムーズに理解し下流工程までをカバーできてコスト競争力も高い発注先をピンポイントで新たに見つけるのです。

人材が引退しない業界

この業界に限らないのだけれど、新しい業界には (若いのは流入してくるけど)「人材が引退しない」という構造的な欠陥(?) があって、元々ディレクターってのはそこから生まれたポジションではないかと思っているのです。

どういうことかというと、大きな会社(というより、社歴の長い会社)なら定年でリタイアする人がいて新入社員が入って来てという流れがあって、その中で会社の成長を描いていけばいいわけです。新陳代謝ってやつですね。ところがこの業界、せいぜいが僕と同世代とか少し上の人が上の世代。まだリタイア出来ないししたくもないよね。

単価が右肩あがりであれば、現場そのままやっていって成り立つわけですが制作単価はむしろ低下していく(若い人の成長も速い。高速道路もあるし :-p )。であれば「ツクルより人やカネを動かす仕事をやれ」(高木さんの話にあったような)ということになって、そこからディレクターというポジショニングが出てくる。

でもね、それってクライアントの都合じゃなくて制作者の都合で生まれて来たポジションなんですよ。より効率よく「人やカネを動かす仕事をやれ(そういう組織をつくれ)」、いいかえれば「中間管理職を設けて、より多くの金を生み出せるようにする」ということ。

それこそマーケットが拡大するか会社が成長するから成立する考えだと思うんですよ。リタイアする人がいなかったら「人が成長し、上に立って複数の人を抱えて仕事をハンドリングしていく」ってのはすぐにポストの不足を招くじゃない。ポストを不足させないためには一定のスピードで成長することが前提になるのです。

現実問題として、大きくならない会社で人材の入れ替わりがなかったら5年後には平均年齢が5歳上昇しているということだし、普通の会社だったら人件費コストが上昇して価格を上げないと辛くなってくる。

では、どうするか

これは東京も地方も変わらんと思うのですね。だから「衰退」や「格差」といって悲観する必要は全然ないのですね。東京が特別上手くやってるわけじゃないし、まだまだ成熟なんてしていないと僕は思うのです。そして「変化」と「チャンス」は必ずセットです。

では、どうするか...なんだけど、ここでは書かない(そのうち書くかもしれないけど、自分で考えるべきことだ)。書かないけど僕は考えてるつもりだし、社員に聞かれたらちゃんと答えてる(というか聞かれてなくても喋ってるかな)。

「衰退」つまり何も考えていないところはもたない。だから、業界で働いている人は社長に聞いてみたらいいと思う(フリーランスの人やトップの人は自問すれば良いし)。「Web衰退時代をどう乗り切っていきますのか?」って。納得できる答えが返ってこなかったら...身の振り方を考えた方がいいかもしれないと思うよ。

# 取り敢えず池○のヘ○スにでも言って恋愛小説(官能小説?)書くための取材からでも始めてみよう w (←当日会場にいた人向けのネタですよ)

カテゴリ


このブログを書いている人
野田純生の写真
野田 純生 (のだ すみお)

大阪府出身。ウェブアクセシビリティエバンジェリスト。 アルファサード株式会社の代表取締役社長であり、現役のプログラマ。経営理念は「テクノロジーによって顧客とパートナーに寄り添い、ウェブを良くする」。 プロフィール詳細へ