クリエーターが独立して会社を作るのに1円起業は有効か?
公開日 : 2006-02-04 15:30:27
某コミュの某掲示板に書いたのですが、せっかく書いたので...ね(何?) # すっごくあたりまえの話なんですが、はじめてキャッシュフローとかについて考える人にはわかりやすい例かと思うので。 ※ウチの会社の話しじゃないよ。事実も含まれるけど。 例:Web制作で独立。 仕事はこれまでの人脈からある程度の目処を立てていたとして、インフラも既にあって、という「超甘」設定です。 以下、金額は基本的に月単位。
【イニシャルコスト】
机椅子、ハード、ソフト、フォントなど一式はすでに揃っている前提で(本当はこれだけで100万越えでしょうが、敢えてそう設定します)。名刺もカラープリンターでプリントして自作(紙も友人からもらったとして)。印鑑は親がプレゼントしてくれました(めっちゃ甘い設定ですが)。
【給与の設定】
まず、自分の給料設定をします。仮に30万円。
【経費】
月々の経費(サーバーレンタル、資料書籍代、通信費、交通費)、仮に10万円。 計40万円。
【粗利】
次に、粗利設定(というか読み)。デザインは自分だが、イラストとCGIは外注とか。仮に粗利率 80%。
【必要な売上】
必要は売上は50万円※になります。 ※50万円×80%=40万(経費10万+給料30万)
【仕事の期間と入金時期】
後は、一件あたりの仕事の期間と入金のサイト。仮に平均2ヵ月、月末締めの翌末振込。 つまり、仕事を受けてからからお金になるまで長くて4ヵ月、平均3.5ヵ月と見込むことにします。
1月1日に独立して、最初にお金になるのが3月末か4月末。 独立1日目から仕事があったとしても、少なくとも50×3.5=175万円のキャッシュが必要な計算になります(3.5ヵ月ってのはあり得ないでしょうから、ここは50×4=200と計算しておくと良いと思います)。もちろん納期が伸びて入金が後になるとか、トラブルや病気等がないことが大前提。 どうでしょう?ハード、ソフト、仕事場(オフィス、自宅)が揃っていて、一銭もかけないとしてこの金額です。 でも、実際はこれだけでは済まないと考えた方が良いでしょう。一般的には、外注費の支払いは、こちらの入金より前にやってくることが多いからです。 このケースなら、10万円×4=40万円。これで240万円。 さて、もう一息です。 法人設立にはお金がかかります。確認株式会社で25万円くらいだったかな。但しあくまでも自分でやったとして、です。人に頼むともっとかかります。1日目から仕事があるような状況で、自分でやるってのは現実的じゃないですが、ここは甘い甘い設定なので、自分でやったとして計算します。 さて、240万円に25万円を足して、265万円。もし1ヵ月ゆとりをもって考えるなら(思い通りいかなかった、あるいは最初の一ヵ月は準備期間+営業の時期だと考えて)+50万円。265万円+50万円=315万円。さて、有限会社の資本金到達です。 将来的に伸びていきたいとか、仕事が増えたら人を雇おうとか、漠然と考えている人もいると思いますが、まず、仕事が増えると外注費が増えます。人を雇うにはお金がかかります。場所も必要です。 そして、外注費と給与は、お金が入ってくるより先に出ていくお金です。また、大きな規模の仕事は、制作期間が長いことが多いですから、入金はさらに伸び、必要なキャッシュはどんどん増えていきます。 人を1人雇って、必要な売上げが100万円になったとして(実際には単純に倍では済まないのですが、それは甘いシミュレーションなので置いておきます)、着手から入金までの平均期間が2ヵ月伸びて6ヵ月になると、100万円×6=600万円のキャッシュが必要になります。人を雇わずアウトソーシングしても、先に出ていくお金が必要な事実はかわりません。 つまり、大きくするためにはさらにキャッシュが必要になる、ということです。 売上げがあがっていてもキャッシュがなければ回らなくなる、ということですね。 だから、成長するためには、運転資金を借りることを見越しておかないといけません。 そのためには、お金を借りやすいような数字を立てていかなければならないわけです。 ※銀行が貸したくなるような数字にすることを意識しておく必要があります。 貸してくれるのは2年後ですけどね。 1円会社ってのは、つまり1日目から債務超過になり、少なくともクリエーターのような受託ベースの仕事の場合はほぼ確実に役員借り入れのような形でお金を会社に入れないといけないようになると思います。
さて、問題です
1円会社にして、個人から会社に300万円貸すのと、300万円の資本金で有限会社(これからは株式会社になりますが)を設立するのと、どっちが良いでしょう?