アルファサード株式会社 代表取締役 野田 純生のブログ


V字回復の経営〜2年で会社を変えられますか?〜


公開日 : 2015-01-19 17:17:56


冒頭に告知。アルファサードでは人材を募集中です。

アルファサードの純資産の推移

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫) 読了しました。本の存在を知ったのはこちらの記事です。あわせてどうぞ。

まず、前提としてウチの会社は赤字ではないし業績が悪いわけでもないのですが、つまり、V字になる必要もないのですが、是非読んでみたいと思って。アルファサードで組織改革をしていきたいと強く思っていて昨年末から絶賛実行中だからなのです。具体的なメニューとしては、人事考課制度づくり、チーム(事業部)制の導入、幹部候補含む人材の採用と育成、これらを通じて収益力の強化、経営基盤の安定化といったことを計画・実行していくのですが、根本的なところというか、目指すところは「風土改革」なんですね。「強烈な個性を持ったオーナー創業者」の色を薄め、自立した組織、社員自らが考え、成長する組織を目指します。

標題の本は大企業の実話を元にしたリアルなフィクションで、物語として読んでも楽しめるものです。サラリーマンもの、会社モノ、半沢直樹シリーズなんかが好きな人であればそういう面でも楽しめるストーリーだと思います。

まぁ、この本には自分が読んでも痛いと感じる言葉が並んでいます。

しかし社員が社長と一緒になって考えてくれるなどというのは幻想にすぎない 。社長こそが新しい考え方を模索し 、それを提示し 、そして社長が自ら行動しなければ 、何も起きないのだ 。
組織の危機感を高める経営手法は 「危機感が足りない 」と叫ぶことではない 。経営風土を変える経営手法は 「風土改革をしよう 」と叫ぶことではない 。社員の意識を変えるために 「意識改革をしよう 」と叫んでも意識は大して変わらない 。
組織カルチャ ーの変化は必ず 、組織内で起きる 「事件 」 (大きな出来事 )を触媒にして進展する 。事件を避け 、なるべく静かに 、無難にことを進めようとする経営者や管理職では 、その組織文化を変えることはできない 。

そう、「事件」を起こそうとしています。自分自身が先頭に立って。改革は何も業績が悪い時に行わなくても良いではないですか。業績が良いときにこそ「事件」を起こして改革していこうというのが俺の頭の中です。

さて、総勢十数名にすぎない中小企業にこの話しを当てはめられないかというと全然そんなことはなくて、やることは同じです。そして、この本に分類されている以下の分類。そう、改革には多少の痛みを伴うのです。

  • 改革先導者
  • 改革追随者
  • 改革抵抗者
  • 人事更迭者
  • 傍観者(外野席)

私はこの数年「人が辞めないことを是」として経営してきました。業種業態、規模を考えると退職率の低さ、定着率の良さは誇って良い数字だと思います。ただ、そのことによる弊害も目につくようになってきたと感じています。

「多少の痛み」というのは、大きく2つ。ついてこれない、もしくは賛同できないが故に脱落者が出る可能性、一時的な業績の落ち込み。これまでとにかく人の入れ替わりがなく、攻めの営業を貫いてきたトップが、社内の制度改革、組織改革、そして、階層のないフラットな組織だったものをチーム(事業部)制への移行にエネルギーを向けるわけですから、売上はともかく、これまでよりコストのかかることをやるわけですから、一時的には利益が減少する可能性がある。

それでも、次の5年、10年を戦うためには今これをやらなければならないという強い危機感と信念があります。そのためには、傍観者(外野席)をどれだけ改革先導者、改革追随者に持っていくか、+改革者は外からやってくる(この本に何度か繰り返しでてきます)=積極的な外部の活用(新たな人材採用含めて)がキーになると考えています。

本気で仕事に取り組むことの意義

「何となく惰性で仕事をしてそこそこの給料貰ってそれでメシ食えればいいし、会社が駄目になれば転職でもすればいいか」とか思って仕事をしていて会社が継続できるほと世の中は甘くありません。また、本気でこの会社でキャリアを全うしようと言う人からすれば、このような考えの人と一緒に働きたくないでしょう。あたりまえのことなのですが、放置しているとこういう考えの人が会社に巣くうようになってきます。私は「なぜ働くのか」みたいな哲学的な問答に明確に答えられるようなできた経営者ではありませんが、サラリーマンであれ起業家であれフリーランスであれ、本気で仕事に打ち込む幸せを体験できない人は不幸だと思います。人間的な成長、自信、そして収入を上げていくこと、生活基盤を安定させていくことに疑問がありますか?

新たにスタートする従業員持ち株制度なんかは、実際にやりがいというより現実に稼いでもらおうということで導入します。本気には本気で応えたい。

重要なのは働き方であって、仕事量ではない

誤解して欲しくないので一応書いておきます。決して「もっと働いてくれ」ということではありません。強いて言うなら「もっと、こういう働きかたをして欲しい」でしょうか。目先のノルマの達成のために、個々人の仕事量を増やして対応することは馬鹿げています。疲弊し長続きしないだけでなく、将来性がない。限界がすぐにやってきます。重要なことは、労力の向け先をどう変えていけばよいか、つまり収益の仕組みを変えていくことです。どこに向かってエネルギーを投入していけばいいのかを明確にし、一体感を持って仕事ができるようにすることです。アルファサードは6、7年前に一度体験しています。社員の年収が数十%向上したあの時のことです(これは今いる社員のうち経験した人のほうが少ないわけですが)、あれをもう一度体験しようと言っているのです。

求める人材像

こう考えると、欲しくない人材ははっきりします。現状の職場への不満が転職のきっかけであれば、そういう思考の人は欲しくないと思えてきます。どんなに優秀な人であっても。幸いにも、特に募集職種のうち、ディレクターや幹部候補については、属人性の少ない、つまりその人のセンスやスキルに関わらず利益の出しやすいモデルを当社は持っています。特に営業しなくても仕事の依頼がくるところ、自社製品を元に組み立て、出荷する(受託業務における納品)ことを覚えれば未経験者でも3ヶ月で1案件でも経験すれば十分でしょう。陳腐化された言い方かもしれませんが、絶対的にマインド重視です。異業種でも構わないとさえ思います。エンジニアだけは別ですが、それでもマインド重視に変わりはありません。マインド重視ってのは、例えばこのエントリを読んで、「それ、面白そうじゃないか」とか、俺(野田)と会ってみたいとか、一緒に仕事してみたいというところです。

募集広告って「ウチの会社こんなにいいですよ」というアピールするもんじゃないですか普通。でも、創業10年ちょっと、社員数十数名の中小企業って、できあがった完成品じゃないんです。今の時点の会社の良さ(いい会社だと思っていますよもちろん)だけを見て、そこに乗っかろうという人を採用しても駄目だと思うし、これから1年、3年、5年で大きく成長しようと思っているのだから、近い未来においては成長後の会社で働いていることになるわけだから、それに相応しい人材と出会いたいではないですか。

アルファサードは11年前に私が一人で始めた会社です。その頃の無名な会社、その後2人、3人でやっていた時期にウチに応募しようという人のレベル感(人をレベルということに抵抗はありますが)と、今応募しようという人のレベル感は全然違う筈です。少なくとも採用に関する基準は会社の成長に伴い上がっていくのが普通です。でも、今後数年で急成長をしていくことが前提なのだから、成長後のレベルに相応しい人材を採用するか、自ら成長してレベルアップできる(少なくとも会社の成長と同じスピードで成長できる)人材でないと、その時点で下げ止まりになっちゃいませんか?

50歳以上しか採用しない会社の社長が言った、「人生の変え方」

直接この本とまったく関係ないのですが、Facebookで流れてきたこの記事。50歳以上しか採用しない会社の社長が言った、「人生の変え方」 | Books&Apps

こういうのって、実話なんだかどうかがわからないのですが(ソーシャルでシェア、拡散されるための作り話をよく目にするしね、最近)、でもまぁ書いてあることには共感できるのです。いや、別に50歳以上を探しているというわけではないのですが。

社長 「不思議ですか?普通に考えればそうですよね。でも、採用にはちょっとした基準があるんです。」

私 「どんな基準ですか?」

社長 「人生を変えたい、という人だけを採用しています」

社長 「一つ目、人生を変えるのは、一発逆転の出来事ではなく、些細な日常の習慣です。「続けること」そのものに価値があります。例えば、「早起きする」であったり、「通勤時間に必ず本を読む」でもいい。仕事も同じです。電話を毎日10本する、であったり、お客さんにこころをこめてメールを書く、でもなんでもいいです。とにかく、小さい習慣から人生は変わります。」
社長 「そのとおりです。そこで、三つ目、一つ挫折したら、次のものを設定する。無理して出来ないことを続けない。失敗は、それ自体がノウハウです。習慣には自分に合うものと会わないものがありますから、ムリはしない。重要です。先ほどの「電話をかけ続ける」という社員は、そこに辿り着くまでに二回ほど挫折していますよ。何かができない、ということについて、罪悪感を感じる必要は全くありません。「できないこと」がわかることは大事です。」

そりゃ、自分を変えたいと思っている人と働きたい。私自身が自分を変えたい。良い方向に。2年で引退できたらこの会社受けに行きたいくらいであるけど、いや、行けないのわかってんので自分の会社で実践したいと思うわけですよ。

要するにこれは、書評の姿を借りた求人エントリーです

応募はこちらのページから、熱いテキストとともにお送りくださいませ。



このブログを書いている人
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野田 純生 (のだ すみお)

大阪府出身。ウェブアクセシビリティエバンジェリスト。 アルファサード株式会社の代表取締役社長であり、現役のプログラマ。経営理念は「テクノロジーによって顧客とパートナーに寄り添い、ウェブを良くする」。 プロフィール詳細へ