アルファサード株式会社 代表取締役 野田 純生のブログ


第19回WebSig会議「特集!Open Source CMS~オープンソースのWebシステムを、どうビジネスシーンに活用するか~」


公開日 : 2008-07-27 15:42:43


第19回WebSig会議「特集!Open Source CMS~オープンソースのWebシステムを、どうビジネスシーンに活用するか~」参加しました。

# 写真撮るの忘れた。今回はタイムキーパー役と受付の手伝いしてました。

レポートがまだ上がっていないので、とりあえずこちら(告知ページ)にリンク貼っておきます。

追記:
レポート上がってます。

キーノートスピーチ:Open Source CMSへの誘い

モデレーターの蒲生さんによる開催の趣旨等の説明。開催するに至った理由、OSSの定義とか。今回は僕も何度かMtgに参加したからもちろん内容についても聞いていたのですが、今回のイベントのユニークなところは単に開発者によるプロジェクトの紹介というのではなくて「ビジネスモデル」の話なんかも織り交ぜた話になっているところ。

余談ですが、蒲生さんに限らずモデレーターの皆さんの活発で真面目な議論には頭が下がる。隔週1回夜数時間、ずーーーっとやってるんですよ。忙しい方達が。いやほんまに驚きます(3次会で飲みながら和田さんに「何なんですか〜」とか話してたというより殆ど絡んでたみたいですね。失礼いたしました)。

おっと話がそれた。

第1部:Open PNEその魅力~「これはSNSになる」という発想~

1つめはSNSエンジンの「Open PNE」です。ええ、あのOpen PNE。手嶋屋の手嶋守社長による紹介。

ご自身で運営しているコミュニティの炎上頻発とmixiやgree等が普及し始めたことが開発のきっかけとのこと。フルタイムで約2名相当のリソースを割いて開発。

以前V1.0の時に少し触った事があるのですが、テンプレート数の多さとデザインのCSS化が出来ていないことでちょっとこれは...という印象を持っていましたが、これは既に現バージョンでは改良されてるみたい。

ビジネスモデルとしては「高速道路を無償で提供してレストランやガソリンスタンドで収益を上げる」「レシピを公開するレストラン」というたとえ話の通り、OSSビジネスのいわゆる王道的? なモデルのお話でした。とにかく、SNSというニーズがあってここまで普及すればコンサルティング等でも収益につながるということ。

個人的にはOpenPNEのテンプレート管理をMTOSでやったら面白いだろうなぁ、と思っていて、ちょっと久しぶりに見てみようと思った。

しかし、「少し後ろめたいようなテーマのSNS」が流行るってのは納得(少し笑った)。僕も僕の後ろめたい趣味(そんなのあんのか?)のSNSを作って流行らせようっと。

手嶋さんの温かい人柄(存じ上げないのですが)が感じられるやさしい語りクチが印象的でした。手嶋屋さんに入社するともれなく社員旅行で「フジロック」行けるそうです。当日も話が終わったら「今からフジロックです」とおっしゃってました。

第2部:EC-CUBE〜日本発のOpen Source ECサイト構築用プログラム〜

今回一番(良い意味で)期待を裏切ってくれた話でした。ロックオンの岩田社長によるEC-CUBEの紹介とEC-CUBEのビジネスモデル。僕の会社とある意味で似ていてある意味で違う。受託からはじめてSaaS事業やOSS事業、ASPとかにシフトしていきつつ、受託は残している点(でないと現場のニーズと離れてしまうし)、自社のサイトや製品のサイトを非常に丁寧に作られている点、「Impact On the World」という強いメッセージ、製品のネーミングとかサイトにちょっとしたユーモアがある(アドエビス)等、似ているというよりこれからウチが頑張って行きたいところをすごく丁寧に実践しているイメージを持ちましたね。同じく大阪だし。

すごく分かりやすくビジネスモデルを図解して説明していただきました。非常に戦略的な思考を持った人という印象も受けましたが、逆に言えば社長がこのくらいは考えてちゃんと説明できる会社でなければ伸びないよな、と思いましたよ。サイト見たら僕よりほぼ一回りも若い。これからも伸びて行くだろうな。

ウチはECサイトの受託はこれまでも(多分これからも)あまりやらないのですが、考え方等大いに参考になりました。ありがとう!

第3部:Web制作者に身近なCMS〜MODxの魅力を語る〜

実はウチの会社で最初にCMSを扱う必要があった時に最後まで検討のテーブルにのっかっていたのが、MTとTypo3とMODxなのです。当時からコンセプトの面白いCMSだなぁと思っていたのですが、Ajaxを活用した管理画面とTinyMCEを使ったWYSIWYGが印象的だった記憶があります。

あともう一つ、0.9.xになってからが長いなぁ〜という印象も持っていました。

MODxフォーラムJapanese Community(どこにリンクしたらいいかわからないな... MODx - Org wikiに張っておきます)モデレータの与刀招音(あとう しょうと)さんによるお話。

こちらは第1部、第2部とは違ってCMS自身の紹介がメイン。但し最初に開発者のライアンさんから貰ったコメントの紹介があって、オープンソースにした理由等も聞くことが出来ました。

テンプレート変数? がノンプログラマでも分かる、というあたり強調しておられましたが(あれが実際にノンプログラマでどうなんだろうという感想もありますが)、「思考を妨げない」「システムにあわせるために思考が止まってしまうのが嫌」というユーザーならではのことばがMODxの魅力を物語っていると思います。

ウチの会社では結局MTを選択してその後色々あって現在に至るわけですが、あの時MODxを選択しない理由が大きく2つあって、1つは(当日質問も出ていましたが)「静的ファイルが吐けない点(実際はプラグインで出来るとのこと。但し、当時僕らが調査した限りではMTでいうところのアーカイブマッピングの柔軟性がないように思えました)」もう1つは「ベータ版であるところの不安」でした。

MODxを取り扱うのであれば静的ファイルは自前で実装するか、とまじめに検討していたのですが、もしあのままMODxで走っていてMTやっていなかったら色々変わっているだろうなぁと思うとちょっぴり感慨深いものがありますが、こちらも久しぶりに触ってみたくなりました。1.0も出ないあたりから既にVer2系の開発が進んでいるとの事。

確かにあのツリー型のサイト管理とかDrag&Dropでの管理とか魅力的です。気になるのはサイトが大規模になってきた時のレスポンス低下(DBよりもむしろJavaScriptライブラリでの管理画面の処理速度の低下)ですかね。ちょっと気になっています。

全体としての感想:OSSのビジネスモデル

プログラマとしての自分、というよりも人間の本能なのか「良いものを作ってたくさんの人に使ってもらいたい」という気持ちが開発のモチベーションにつながって行くってのは当然あると思います。そしてどうしても本業が「スーツ」なのでこういう視点になってしまうわけですが、OSSのビジネスモデルについても今一度考えてみたいと思っています。ウチの場合は「パッケージビジネス」というものを昨年から始めたわけですが、次の仕掛けとして何かやってみたいというのは思っています。現状だとMT(MTOS)に関する何か、になる可能性が高そうですが、それに限らず今回の3つのプロジェクト等も少し触ってみて何かできる事があって面白そうと感じられたら何かするかも。

少し現状忙しすぎるから、まずは時間作らないといかんねぇ。



このブログを書いている人
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野田 純生 (のだ すみお)

大阪府出身。ウェブアクセシビリティエバンジェリスト。 アルファサード株式会社の代表取締役社長であり、現役のプログラマ。経営理念は「テクノロジーによって顧客とパートナーに寄り添い、ウェブを良くする」。 プロフィール詳細へ