アルファサード株式会社 代表取締役 野田 純生のブログ


IT業界に就職するという言葉の違和感とか不人気を気にかける無意味さ加減とか。


公開日 : 2007-11-06 10:12:08


何だか話題になっているようですが。

  • じゃぁ、どこの業界にはポジティブなイメージを持っているの?
  • 何故あなたたちは、この業界に進もうと思っている(思っていた)の?
  • 何故あなたたちはこのイベントに参加したの?

ってとこから話を広げて欲しかったな。

特に一つ目、「どこの業界にはポジティブなイメージを持っているの?」ってことから考えると、どの業界が良い(もちろん今だけじゃなくて将来に渡ってという視点で考えて)とか簡単に言えないんじゃないか。

だいたい人気なんてものは5年10年経てば変わっちまう水物だし。

イベントの趣旨がそうなんだろうが、そもそも業界単位で見る必要がどんだけ〜あるのだろう。例えば自動車業界、例えば家電業界、例えば小売り業界。勝ち組とかどうでもいいけど、どこの業績が良くてどこが良くないかとか、情報もそれなりにあるし分かりやすいといえば分かりやすい。

自動車業界を志望している人はそれなりに理由があるだろうが、業界云々が決まっていたら次は「どの会社」となるだろう。

「きつい」とか「帰れない | 帰らない」というのは業界の問題ではなくて会社/職場の問題であり、ある程度のキャリアを積んだ人であればその会社/職場を構成するその人自身の問題である。会社/職場を構成しているのは「帰らない | 帰れない」その人自身でもあるのだ。

だいたい今時「就職」「転職」と言っているあたり何だかなぁ、である。特に転職って言葉の方。何故「転社」ではなく「転職」なのか?

業界の人気なんか気にする必要ない。「就職活動」より「就社活動」。「転職活動」より「職場 & 自分改善活動」。

「業界のせい」にしたがる人は会社/職場に呑まれてしまいやすいんじゃないか、と。もちろん学生がそうであっても良いと思うが、現役バリバリのエンジニアさんとかが「そうは言ってもよぉ」とか言ってるのであればそれは違うのではないだろうか。

でも何と言っても重鎮さんたちの発言。業界の人とはいえN社とかT社とかの人であるならば、

「N社は全然そんなことないですね。T社さんは分かりませんけど。」

とか

「T社さんではあるかもしれませんねぇ。でも当社をはじめ私の知る限り...」

とか言い合ったら面白かったのに。

「IT産業は学生から人気がない」のであればそれはチャンス! ウチだけ人気度アップさせちゃえ、ってなもんで。

無理か。大人だから。

でも、業界でなくて自分の会社とか自分たちが作り上げて来た環境自慢合戦とか出るくらいじゃないと、というか全力でそう語らないことが何だか命賭けてない感じ。絶望したのは学生じゃなくて、下で働く人たちかも。

「3Kの“帰れない”は、帰りたくない人が帰れないだけ。スケジュール管理の問題だ。私は40年間近くIT業界で仕事しているが、何が一番幸せかというと退屈している暇がないことだ。技術が進歩するにつれわれわれの仕事も複雑化してくるが、一生懸命追いかけていくだけでも退屈しない。いい仕事を選んだと思う」

即座にこれが出て来たってのは、まず「帰れないこと」は認めていて「スケジュール管理がまずくて帰れない」現場を見たことがあるか体験したことがあって、それを「退屈している暇がない」ことに転嫁しているように聞こえちゃう。

『「“帰れない”」じゃなくて、帰る暇が惜しい程楽しい仕事なんです。』

『誰が帰れないの? 僕が見て来た現場、っていうかウチの会社はみんな普通に帰ってますよ』

って即座に言えたら格好良かったのに。

とにかく、どんなに良いと思っていた業界や入ったとしてもうまくいかないこととか納得出来ないことはやってくるし、うまくやれている現場もあればそうでない現場もある。業界のせいにしても得することは何もないから、まずは「仕事」見て業界絞ったら、会社/職場、人を見て進む会社を選び、でも理想と違ったら近づけるべき努力したり他の道を考えたり...ってあまりに普通のことか、そうだよな。

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野田 純生 (のだ すみお)

大阪府出身。ウェブアクセシビリティエバンジェリスト。 アルファサード株式会社の代表取締役社長であり、現役のプログラマ。経営理念は「テクノロジーによって顧客とパートナーに寄り添い、ウェブを良くする」。 プロフィール詳細へ