2011年2月アーカイブ

このエントリは全く個人的な興味・関心から書いたもので、実在の(!)人物・団体・会社や自分の会社等とは全く関係がないことを最初にお断りしておきますw

色々と考えることのあるエントリだったので紹介しておきます。

Byrne Reese氏はSix Apartの元中の人で(2004年から2008年まで)MTの元プロダクトマネージャ。現在はMovable Type や MelodyのコンサルティングをしているEndevver, LLCのパートナー。Movable TypeをフォークしたMelodyのチェアマンで開発リーダー。

※以下、翻訳には誤りがある場合があります。

Disclaimer: Byrne Reese is the former Product Manager of Movable Type and TypePad and worked at Six Apart from 2004 to 2008. Byrne Reese is now a Partner at Endevver, LLC, a premiere Movable Type and Melody consulting company, as well as the chairman and a leading contributor to Melody, a fork of the Movable Type platform.

"元"中の人が書いたエントリということで興味深いですし(もちろん元"中"の人であるが故のネガティブなニュアンスが含まれるという面もあるでしょうが)、ブログのリーディングカンパニーであったSix ApartがMovable Typeとともに日本の企業に買収されたということで海の向こうでは"How did WordPress win?"ということになるのでしょう。たくさんのコメントもついています。
このエントリでは様々なことに言及されていますが、大きくは

  1. ライセンス問題(GPL vs コマーシャルライセンスと、Movable Typeの2004年問題)
  2. Perl vs PHP(快適さ、カスタマイズの容易さ、インストールの容易さ)
  3. WordPressのコミュニティ(とAutomattic)
  4. Six Apartの事業戦略

といったことが挙げられています。

ライセンス問題

ライセンスの問題についてはGPL vs 商用ライセンスというだけでなく、2004年問題?について言及されています。

WordPressはGPLライセンス。MTOS(Movable Type Open Source)も現在はGPLで、Byrne Reese氏らが開発しているMovable TypeをフォークしたプロダクトMelodyもGPL、一方でMovable Typeは商用利用についてはコマーシャルライセンスが基本です。

When Movable Type changed its license in 2004, it proved to be a significant turning point for WordPress. Yes, the change angered a lot of people and led to a lot of loyal Movable Type users deciding to switch to WordPress.
Movable Typeが2004年にそのライセンスを変えたとき、WordPressにとっての重要な転機でした。そう、ライセンス変更は多くの人々を怒らせて多くの忠実なMovable TypeのユーザーがWordPressにスイッチすることを決めさせることにつながりました。

* 日本の事情がちょっと異なるのは、本格的にMovable Typeが普及していったのが2004年以降(日本法人が出来、MT3.xが商用ライセンスとして日本で提供されはじめてから)という点でしょう。このあたりは次回以降のエントリで。

PHP vs Perl.

WordPressがPHP、Movable TypeがPerlであることも要因のひとつと述べられています。

Unfortunately it is impossible to avoid the Perl vs PHP debate when it comes to WordPress and Movable Type, and the fact that cogent and compelling arguments can be made and demonstrated that Perl knowledge has never been required, not once, not ever, to build a web site using Movable Type doesn't matter. People simply feel more comfortable working with PHP. And even though the vast majority of people will never have or have ever had the need to hack the source code of their CMS, they are still comforted knowing that they could if they had to. People just never had that kind of comfort level with Perl and by association, Movable Type. Perl is just simply too scary.
残念なことに、WordPressとMovable Typeに関してはPerl vs PHP議論を避けることはできません。Movable Typeを使うことでPerlの知識がなくてもウェブサイトを作れるという議論はここでは重要ではありません。 人々は、単にPHPがより快適であると感じます。また、大多数の人はCMSのコードをハックする必要がない(あるいはこれまでにはそうする必要がなかった)としても、今後その必要があった時の(PHPであることが)慰めになります。人々はその安らぎをPerlやMovable Typeでは得ることができない。Perlはただ単に"怖い"のです。

両刀使い?の自分とすれば、完全に同意はしかねるところはあるものの、言わんとするところは理解できます。僕はこの発言がPerlプログラマであるByrne Reese氏から発せられたことに注目したいと思います。

WordPressのコミュニティとAutomattic

AutomatticとWordPressコミュニティがSix Apart、Movable Typeに対抗した方法についてはこう述べられています。

WordPress defined itself not as superior product by its own merit, but as the underdog. It succeeded by villifying Six Apart, by casting doubt on Six Apart's integrity and by constantly stoking the fires left over from Movable Type's licensing fiasco.
彼らはWordPressを優れた製品としてではなく、弱者として定義しました。Six Apartの完全性に疑問を呈し、Movable Typeのライセンスの失敗の残り火を焚き火して消さないようにすることによってSix Apartを叩くことに成功しました。

あるいは、

They would do whatever it took to move people to WordPress.
WordPressに乗り換えるためのことなら何でもした。

WordPressのコミュニティとAutomatticは乗り換えキャンペーン(それはもちろんMovable Typeからの)を展開したりWordPressに乗り換えるためのことなら何でもしたと書かれています。判官贔屓ってのは日本だけかと思ったらそうでもないようで、WordPressは自らを弱者(underdog)と位置づけ、アンチSix Apart、アンチMovable Typeとして振る舞ったという意味合いなのでしょう。

Apperceptive社の買収とコミュニティの衰退

Apperceptive社の買収についての見解は中々に興味深いです。当時、Aからはじまる会社を買収とかいう話が出ていて結果としてデザインやテクノロジーコンサルティングを行う会社を買収したわけです。つまりはサイト構築やネット広告の企画や開発を行う会社を買収したということです。Byrne Reese氏はこのことがコミュニティに影響を与えたと述べています。

Apperceptive社はニューヨークのデザイン、テクノロジーコンサルティング会社(We are design and technology consultants in New York City. )。

2008年のITメディアのニュースはこちら。

そして、この買収が招いたこととしてByrne Reese氏は以下のように述べています。

Six Apart's Purchase of Apperceptive

Even as Movable Type's community started to become small in comparison to WordPress', its community was still just as competitive. Its community was strong for the same reason that WordPress' was - it consisted of a number of very bright, and exceedingly dedicated community members who were as invested in their respective trades as Six Apart and Automattic ever were.

Six Apart の Apperceptiveの買収

Movable TypeコミュニティがWordPressコミュニティよりも小さくなり始めた時はまだ同じくらい競争力がありました。そのコミュニティは、WordPressのコミュニティと同じくらい強かった - それは、これまでに、Six ApartとAutomatticと同じくらい専心的な何人かの非常に明るくて、非常に熱心なコミュニティメンバーから構成されていました。

Then Six Apart purchased Apperceptive. It was a great business move from a revenue stand point, but the consequences to the community were devistating in the long run. Here's why:
それから、Six Apartは、Apperceptiveを買収しました。それは収益向上の面からの大きなビジネスの動きでした。しかし、長い目で見ればコミュニティを衰退させていきました。理由は、ここにあります
Six Apart's purchase of Apperceptive was successful, by all measure and accounts. Business increased, enterprises flocked to the platform and Movable Type was growing at an even faster clip. In order to meet the demand of the new business though, Six Apart began to hire the smartest and most innovative members from its community into its professional services team. Once hired, all of the awesome work they were doing got swallowed by the increasingly closed and proprietary Six Apart professional services ecosystem.
Six ApartのApperceptiveの買収は多くの面で成功を収めました。ビジネスは増加しました、企業はプラットホームに群がりました。Movable Typeはさらに速いクリップで成長していました。新しいビジネスの需要にこたえるためにSix Apartは能力があり革新的なメンバーをコミュニティからプロフェッショナルサービスチームに雇い始めました。一旦そうなると、彼らがしていた素晴らしい仕事のすべてがますます閉じていき独占的になり、エコシステムはSix Apartプロフェッショナルサービスに飲み込まれました。

そして、結果としてプラットフォームへ群がる顧客たちは個人事業主やフリーランス(independent contractors)が多いMovable Typeのデベロッパーたちではなく、Six Apartが独占的にその仕事等を得るようになり、コミュニティは衰退していったと述べています。

Six Apartの製品戦略について

最後に、Six Apartの戦略について述べられています。

Six Apart's Failure Finally, I will add one more contributing factor to WordPress' success: Six Apart's failure. The reasons behind its ultimate failure as a product company are many, are complex and in many cases very nuanced. But the general consensus is apt: Six Apart severely hampered its own ability to compete effectively by spreading its many exceptionally talented resources across too many products.

In short, Six Apart lacked focus.
最終的に、私はWordPressの成功にもうひとつの要因を加えるつもりです: Six Apartの失敗。製品企業としての失敗の背景は多くの要因により複雑で非常に微妙な違いがあり一概には言えません。しかし、一般的な見解としては: Six Apartは、あまりに多くの製品のに有能なリソースを分散させすぎた。そのことが結果として競争力を弱めた。

要するに、Six Apartはフォーカスを欠いていた。

もちろん、当時のSix ApartはMovable Typeだけを扱っていたわけでなく他のサービスも展開していたわけで、会社のビジネス全体とひとつのソフトウェアの勝敗がイコールであるわけではないのですが、WordPress vs Movable Typeという構図で見ることに限定するとこういう見方になるのでしょう。

10年続いた(もちろんまだ続いている)サーバーサイドのアプリケーションとして希有な存在のMovable Typeと、Six Apartというブランドを作り上げ、それを売却して幾ばくかの富を得たであろう会社・製品が敗者であるか勝者であるかの判断は色々な見方があるのだと思います。このエントリは一つの見方ではありますが、海の向こうでどのように認識されているかについて理解するのに役には立つことでしょう。

一方で日本の事情はちょっと(かなり)異なります。これについてはそれこそフォーカスがずれてしまうので次回以降のエントリで(こちらは自分の見方も入れて)書いてみようと思います。

激しく忙しい! のでちょっとまとまらないエントリになりますが。

「Web制作者にとって」のCMSとか考える必要あんの? とか、ないの? とかCMSって結局クライアント(エンドユーユーザー)とサイト訪問者のためだろ、とか。

Web制作者にとってのツールやフレームワークって何だろう?ってことをちょっと考えてみたいと思った。

Power CMS for MT v2のカタログを見て興奮中なう。 何か物凄いな・・・。ちょっと機能が多すぎて管理画面が狭く感じるけど、これだけ豊富な機能があれば、様々な案件に耐えれるし、運用も楽になれるはず。これって使わない機能をOFFに出来るのかな。 触ってみたいぞー!

CMSやツールを抜きにしてWeb制作者にとって嬉しいことって何だろうか? 例えば「給料があがる(フリーランスだったら報償があがる)」ってことは当然あるんだろうけど、収入が上がるのは結果であってそれにつながる要因ってなんだってことです。それ(収入増)につながることはつまり「Web制作者にとって嬉しいこと」なんだと思う。

スキルがあがるのは、嬉しい。

収入はともかくとしてデザインでもプログラムでもスキルやセンスが向上して表現や開発できるものの幅が広がるってのは嬉しいことだと思う。ツールはあくまでも手段であるからして、クライアントにはツールや製品がどうってのは関係がない。幅が広がればクライアントのオーダーに「できません」「うーんちょっと検討させてください(で、出来る人を探す)」と言わなくて良くなる。その場で、「OK、できます」って言えるようになるのは嬉しいことだと思う。今まで自分が「できます」って言えなかったことが言えるようになるんだから(当然結果として収入増にもつながるだろうし)。

無償で使える言語やフレームワークやソフトウェアの場合、ライセンスやセキュリティの問題がなければ特にそれをクライアントが気にすることもさせることも必要ないわけで、そういうものを使って何かができるってことはそれはそれでいいことなんだと思う。「とにかくできるだけ安く作りたい」時、そして、それが趣味のサイト(趣味でなくてもいいけれど自分のためのものであること)とかだったらそういう無償で使えるものを前提に考えていくのもいいと思う。

ところが、それが予算化されたプロジェクトである場合、トータルコストを考えなくてはならなくなる。人手がかかればコストも膨らむわけだから、利益の最大化は何もツールの導入コストを下げることだけで実現できるわけじゃない。コストを抑えるために有償のツールを選択した方が良い場合も多々あります。特定の機能を実現するための設計・開発・テストのコスト、そういうものをなくしてくれるのが有償のツールであるならば、それを選択するのが速い(結果的に安い)ということです。

また、こういうケースではツールを使うこと前提であっても、それをあなたが実現できるのであれば、それはあなたが「できること」になります。できること=嬉しい。できることが増えるのは嬉しいことです。

CMSとしてイケてる多機能な何を選択するか、ではなくて自分のスキルを押し上げてくれるツールを選ぶ

だから、CMSなんかのツールを制作者視点で選ぶ際には、ツールが自分のスキルを押し上げてくれるというものを選ぼうってことになります。ツールを選定してそれをベースに実現したってそれはクライアントの「これできる?」にあなたが答えられることになるわけですよね。それは、「Movable Type(WordPressでも何でもいい)のテンプレートが書けます」ということではなくて「(例えば)ユーザー登録、ログインの仕組みを持ったコミュニティサイトを作れる」とか、「(例えば)3キャリアやスマートフォンに最適化されたページをワンソースで作れる」とか、「(例えば)条件を仔細に指定して検索出来るサイト内検索の仕組みを作れる」と自分が言える、ということです。

制作者のスキルを押し上げることのできるツールやフレームワークを作る

逆に考えれば、自分たちの立ち位置としては、自社の製品やライブラリやツールやフレームワークを使ってくれる制作者のスキルを押し上げるための何かを提供していきたい、ということになります。そして、それをサポートする。サポートってやっぱり重要で、「これができますか?」って聞かれた時に「できますか?」ってメーカーに聞ければ楽だし、自分がつまずいたらそれをサポートしてもらえるってのは安心につながるわけだし。あたりまえのようなことなんですが、モノの見方を変えると何かすっきりするという面もありますね。制作者のスキルを押し上げられる何かを提供することが今の自分たちの立ち位置かな、と思うとすっきりしてきます。

アルバイト、社員、短期のプロジェクトメンバを募集しています

これが結局書きたかったんじゃないかというツッコミは無しの方向でw

Web制作系の補助業務(もちろん補助とかじゃなくてガッツリサイト構築やシステム構築にかんでくれる人でも構いません)、2月から4月上旬(もちろんその後も継続いただけるって方も歓迎)、東京もしくは大阪で、基本会社に常駐しての仕事になりますが、ご興味ある方はこちらからご応募ください。具体的な仕事内容についての質問なども歓迎します。

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