2009年9月アーカイブ

絶賛人材募集中につき (1) (2) シリーズその4です。

順番から言うとスタートアップ直後の営業の話を書こうと思っていたのですが、まぁ時間軸はいいや。

6年間、赤字なくやってきたわけですが、何度か危機的状況がありました。これまでで3度ですかね。今日はそこを書いてみます。

ごそっと人が辞める(しかも2回)、売上が頭打ちになる

人が辞めていく件は2度ありました。一回目は東京にオフィス構えて1年後。社員が複数同時期に辞めるということです。1人は元々1年経ったら辞めるという条件で、昔自分の部下(結婚して関東に移住した女性)に「手伝え」っていって立ち上げたオフィスでもあるので、それは織り込み済み。でも、彼女が辞める際に後の二人が揃って辞めていった。理由はいろいろあるけれど、ひとつはここに書いたこと。若いスタッフに難しいこと要求してたんだと思う。

[追記]やっぱり、いくら長い付き合いとはいえ当初から手伝い意識で来ていた人間に任せていた、ってのは今から考えると失敗だったかと。悪い子らじゃなかった。そこをなんとか出来なかったのは自分の責任。やはりトップである自分が語らなければならんのということは身をもって学んだかな。

で、次は大阪。こっちも立て続けに辞める事件(事件かよ!)。これは、もう明らかにこれだろうと思う。

もう一点。会社が変わっていく時、変化していく時、特に上に向かって伸びていく時ってのは、社員とのギャップが生まれて当然なんだと思う。会社のステータス、ステージが違えばそこに入ってくる人間のレベルやマインドが変わるし、1年前の会社と今の会社が違う方向に進んでいたら、ついていけないっていう人間も出てくる。でもある意味でそれは仕方ないんだと思う。

一回目の危機の時はどうしたか。力技でなんとかしました。東京に足場をってのは当初から考えていたから、オフィスを出したのは1年目です。逆に大阪にはスタッフがいなくて、1人大阪から東京の3人をみているといういびつな状況。何とか1年やってきたところで撤退するのはどうしても我慢出来なかったので、求人広告出してスカウトとかメール送りまくって2人採用して、東京にマンション借りて住み込んだ。これがあの有名な(?)「40過ぎて一人暮らしなんか(俺には)無理」事件です。ウチの仕事手伝ってもらってる人にはわかると思うんですが、今東京で仕事してるFとSはその時の2人です。ウチで4年くらいになるのか? なるんだろう。やっぱり接点の濃度とか時間が大切なんだろな、って。

さて、2度目の危機(大阪)はどうしたか。基本は同じです。人入れて、半ば強引に口説いて入れて、立て直した。でもこの時は少し方向が違っていて、それは3つめの危機の話とつながるのです。

数字が頭打ちになった時にどうするか

2007年、4期目のこと。1→2→3期と順調に数字が伸びて、ところが3→4は数字が伸びない。5期目もほぼ同じ数字になりそうな気配。伸びる要素がない。前職時代、5人程度のチームを率いて1.5億くらいの数字を上げていたのです。もちろん、粗利率が今と全然違って、アウトソース基本の会社だったってこともある。でも、その半分くらいの数字で頭打ちが来やがった。もう、この数字が自分の限界なの? って。社長の器以上に会社は数字を延ばせへんのです。それは事実。で、俺のこの数字ってのが俺の器なの? って。

その時ね、考えたんです。「変わろう」って。

リストラと転換と

変わろう、と思って最初にしたこと。人件費の削減。わかりやすいでしょ? でも社員の給料下げたんじゃない。一番給料の高い人間の給与を下げた。わりとごそっと下げた。一番給与が高いのは誰って? それ、自分に決まってるやん。自分の給料下げた。

で、何をしたか。

ブログ書いてた。っていうか、そうしようと決めたんですよね。もう、給料下げた分は儲かんなくていいやって。で、案件から離れてプラグラム書いてた。

あと、MTのプラグインとか。めっちゃ書いてた。書いてはブログにあげて、の連続。あんときゃ、一日一エントリ上げるのノルマにしてた。

これ見てよ。2007年7月アーカイブ。エントリ数って63ですよ。一ヶ月で。

「社長何やってんすか」てなもんですよね。社長案件やらんとブログばっかり書いととんねん。

でも、結局これがじわじわ効いたんだな。春頃から書きまくってて、その夏MT4のリリースとともにお声掛けいただいて、イベントで話したのです。

面白いのがその後の経緯で、このエントリに書いてるでしょ。

人月 vs パッケージビジネス

実はこれが一番考えさせられたというか痛いところにツッコミ来た感じで、トークの時に紹介した社内で使っているプラグイン「売らないんですか!?」の件。

「売るとサポート必要でしょう?」ってあたりまえの答えをしていたのですが、これは本音で、単価が100万円で売れるものならともかく、数万円のものを大量に売って(売れれば、だけど)顧客を管理してサポートして(それ以前にちゃんと集金して)ってまずそういうノウハウも体制もないわけで。

だからどこかが代わりに売ってくれれば考えるかな、ってのも本音ですね。レンタルサーバー会社さんとかがウチのプラグインとかライセンス込みプリインストールとかで高付加価値レンタルサーバーとかやってくれるとか。レンタルサーバー会社さんがよく制作会社にアフェリエイト的? な販売パートナーになりませんかとか案内来たり電話来たりするけど、単にサーバー紹介してマージンもらうみたいな商売はやりたくない。かといってホスティングビジネスやるだけのリソースもないし。

で、その舌の根か湧かぬうちに、笑うでしょ。上記のエントリが10月1日。リリースしたのが11月22日(いい夫婦の日)。

だから、今告白すると、僕はあの時苦しんでたんです。色んなことに。でも、腹くくって「数字はいいや」って割り切ることで、仕事離れて、飛躍するために膝曲げようって思ってた。膝伸び切ってたらジャンプでけへんし。

結果、それって仕事いいからってアクセシビリティ・ゲートウェイのプログラミングしてMTプラグイン書いて、結果としてオリジナリティの強い自社のプロダクトができて、ウチのスタッフも「これやっとけば食えるんや」ってわかって、結果としてその後人が辞めなくなった。

Power CMS for MT、結局間もなく2年、120ちょっとのサイトに入れていただきました。あんとき書いてたゲートウェイも結果的に自社プロダクトになってる。

結局は、覚悟を決めて膝を曲げる勇気を持てるかどうか

その昔、王監督が言ってたのを聞いたことがある。本物の長距離打者は腕が伸び切った状態で球を捕らえない。つまり、腕伸び切ってるとボールを飛ばせない。膝曲げないと飛躍できないんだよ。目先の儲けを追っているから膝を曲げられないってのは、それは「言い訳」なんだということ。

いいかい? 膝を曲げなきゃ飛べないんだぜ。そこにどんだけの覚悟があるのかい?

だから、ピンチと壁を乗り越えるってのは「覚悟を決めて、膝を曲げる」ってこと。つまりはそういうことなんだ。

現在絶賛人材募集中 (1) (2) につき連載中。3回目です。

さて、次はMTのことを書こうかと思っていましたが書きながら話がそれるのは毎度のこと。今回はスタートアップとお金について。

「会社を立ち上げる」。これは誰にでも出来るし手続きだけのことですから。かつて株式会社をつくるには1,000万円の資本金が必要だった。有限会社は300万円。今はその縛りは無いけど。2003年当時、中小企業挑戦支援法、新事業創出促進法によって認められた「確認有限会社(1円有限会社)、確認株式会社(1円株式会社)」。法律の特例で資本金1円からでも会社を設立することができる状況でした。但し5年後に1,000万円(株式会社)もしくは300万円(有限会社)に増資しなければ解散もしくは組織変更というノルマがついていました。

色々考えたのですが、そういうの何か面倒で嫌だった。何ていうか、実体とあってないというか嘘付いてるみたいで、これはまぁ性格ですね。

結果、設立時は資本金300万円の有限会社ということでスタートしました。かき集めれば1,000万円くらいはなんとかなったと思うんですが。

結局決めていたのは外部の資本を入れないということです。やりたいこと貫くために他の人の顔色見て仕事するのが性に合わないということもありますが、当時既に37歳。自分がその器でないのであれば、潔くやりなおすこと前提の1人スタートでした。そして大きいことより、強いこと、面白いことを優先したい。これは崩したくなかった。

当初の300万円ってのは、つまるところこれが底をついた時に潔くやめるために「捨ててもいい」と決めたお金です。想定していた期間は半年、6ヶ月です。数字のことは過去に書いたのでそちらを参照いただければよいかと思いますが、つまり「半年で芽が出なかったら潔く辞めよう、この300万円はなかったことにしよう」と決めてスタートしました。実際はその場合でもなかったことではなく、自分の給料はとったうえで使い切ってしまったら辞めてしまえ、ということですね。

そんな感じでスタートしましたが、(ありがたいことに)その300万は底をつくことなく(増えて)、まもなく6年が経過します。

結果として4年目の段階でデットエクイティスワップを使って増資。結局、法人税の高さが気になるので、利益の出るぎりぎりの線で数年頑張って自分の給料は多め、ただし未払いで貸し付ける形にして資本金に転換(債務の株式化)させる。現在資本金1,000万円。

結局、確認株式会社でよかったんじゃん、って話ですが、これはあくまでも結果論。さらに増資することも考えていますが、1,000万円を超えることで税金や法律面でいくつか制約ができるので当面はこのままにしています。あとは内部留保やらなんやらでB/Sを良い状態にしていくという段階です。

今年の6月決算時、会計事務所によると「非常に良いバランス」とのこと(このくらいになるとB/Sの左下にベンツが出てきたりするもんですけど、社長んところはそれないしwみたいな会話してた)。

さて、別の視点ですが、もうひとつお金に関して心がけていることがあります。

以下のエントリーでも書いているのですが、基本的に以下の考え方で利益を配分することを心がけてきました。

  1. 内部留保する(25%)
  2. 従業員に還元する(25%)
  3. 投資する(25%)
  4. 税金を払う(25%)

※税率のことがあるので正確にこのバランスにはなりませんが

当初はなかなかこのバランスを保てませんでした。多くは従業員に還元していました。とはいえ大した利益が出ていなかったのであくまでも比率の話です。そこは申し訳ないという思いを持っていましたが、やはり人は大切だから。それでも当初は中々その辺の思い、伝わらないところがもどかしかったです。結局お金だけでもないんですよね。

現在は、ほぼこのバランスが実現できるようになりました。直近の投資部分は大阪のオフィスとインフラですね。そしてこの投資と同じ程度は留保され従業員にも還元されています。当然ですが業績がよければ賞与や給与が増えるということ。そして同じ程度の留保が出来ます。

結局ここにも、外部の資本を入れていないことが効いているわけです。投資家入ってたら絶対「営業入れてもっと売れ」ってなる(絶対言われる自信あります。だって営業入れてない)。株主利益とか考えず留保、投資、従業員にバランス良くというか、自分の考えをお金の配分の仕方に反映できる。

とはいえ正直に言うとこのバランスが実現できたのはここ2年くらいのことです。この2年で何が変わったのか。その一つは前回のエントリーに書いたことです。またこのあたり機会があれば補足していきたいと思います。

さて、今後です。今後も当面この基本線は崩さないで進みたいと考えています。外部の資本を入れないからこそ自分たちの判断でスピーディーにことを進める。大きいことより、強いこと、面白いことを優先する会社。総売上より1人あたりの利益とやりがいの最大化。

これが私、つまり弊社の組織とお金についての基本的な考え方です。

少し個人的&会社で協力させていただいているイベントです。当日は私も参加しています。是非ご参加ください。

プレスリリース

利用者の視点で「だれもが使え、参加できるICT」を目指して活動しています、NPO法人ハーモニー・アイ&みんなの声で選ぼう!だれもが使えるウェブコンクール実行委員会と毎日新聞社ユニバーサロンとの共同企画のお知らせです。

「みんなの声で選ぼう!だれもが使えるウェブコンクール」を10月より開催するにあたりそれに先駆けて、10月7日(水)19時〜に以下の公開討論会の開催が決定しました!

ぜひ、皆様ご参加ください!

公開討論会 "だれもが使えるウェブサイト"〜企業サイトのアクセシビリティでビジネスチャンスをつかむ〜

詳細と無料お申し込み: http://daremoga.jp/

【概要】

ウェブサイトにとって大切な「だれもが使える」「多くの人に使いやすい」ということ。

このことは、ウェブの利用者に利便性を提供するだけでなく、ウェブサイトを提供する企業にも有効なビジネスチャンスをもたらします。しかし、多くの企業のウェブサイトは、使いやすさへの配慮が足りないために、ビジネスチャンスを逃しています。

シニアや障害者、パソコンに詳しくない一般の人々がどのようにウェブを利用し、どのようなウェブを望んでいるのか。使いやすさへの配慮がビジネスチャンスにつながるとは、どういうことか。企業ウェブサイトのアクセシビリティで、直接的なビジネス効果を出すためには、どのように取り組めばいいか。

毎日新聞社ユニバーサロン編集長の岩下氏をモデレーターに、パネリストが本音で討論します。

【登壇者】
モデレーター:
  • 岩下 恭士 氏 (毎日新聞社 デジタルメディア局 ユニバーサロン編集長)
パネリスト:
  • 馮 富久 氏 (株式会社技術評論社 クロスメディア事業部部長代理)
  • 安田 英久 氏 (株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長)
  • 曽根 清次 氏 (社団法人長寿社会文化協会(WAC) 関東ネットワークセンター 事業推進部長)

他、アクセシビリティに積極的に取り組みをされている企業様にも出演依頼中。

【日時】

2009年10月7日(水) 19:00 から 20:30
(公開討論会後、会場にて軽い交流会を予定しています)

【場所】

毎日新聞社 東京本社 4階フリースペース
(東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル 4階)
地下鉄 東京メトロ東西線 竹橋駅 1b出口 直結

社員の誘導がないと入場できないため、18:50 までに4階の西エレベーターホールに集合してください。

なお 18:30 から 18:50 まで、竹橋駅 1b出口 改札にガイドボランティアを配置しています。

【参加費】

無料(交流会に参加いただく方は1000円)

【定員】

50名(お申し込み多数の場合、抽選になることがあります)

【詳細とお申し込み】

http://daremoga.jp/

【こんな方にお勧め】
  • 企業・団体・公的機関のウェブサイトの担当者
  • ウェブ制作会社・広告会社の方
  • ウェブサイトのアクセシビリティに興味のある方
【主催】
  • みんなの声で選ぼう!だれもが使えるウェブコンクール実行委員会
  • NPO法人ハーモニー・アイ
【後援】
  • 毎日新聞社
  • 株式会社技術評論社gihyo.jp
  • 株式会社インプレスビジネスメディアWeb担当者Forum
【「みんなの声で選ぼう! だれもが使えるウェブコンクール」とは】

インターネットの活用はすごい勢いで発展し、今や多くの市民もそのシステムを活用するようになってきています。その窓口ともなるウェブサービスは、みんなの可能性を広げてくれる大切な役割を担っています。

しかし、現在残念ながらまだまだ確実にだれもがアクセスできる、使いやすいウェブの広がりは発展途上です。

特に、高齢者や障害者、ITには不慣れなユーザなどは、おいてけぼりになりがちです。また、ウェブへのアクセス環境もここ数年で、携帯電話はじめとする様々な環境が 一般的に広がりをみせています。

そこで、このコンクールにおいて「おいてけぼり」になりがちな障害者、高齢者の市民モニターへも参加いただき、その意見も参考に、利用者視点を重視した使える、使いやすいウェブを審査し表彰させていただきます。

だれもが使えるウェブ発展のために!

【「公開討論会」および「だれもが使えるウェブコンクール」のお問い合わせ】

NPO法人ハーモニー・アイ 事務局
〒135-0042 東京都江東区木場3丁目14番11号205
メールアドレス: harmony-i@harmony-i.org

現在絶賛人材募集中 (1) (2) につき連載(?)はじめました。今日は2回目です。

前回、会社のネーミング由来の話を書きました。ちょっと順番が前後しますが、次は先にこのテーマについて書きます。

さて、現状のアルファサードがやっている主な仕事を挙げてみます。

領域:

  • Webサイト企画・設計
  • Webコンサルティング(アクセシビリティ評価/ガイドライン作成)
  • ディレクション
  • Webデザイン
  • サイト実装・構築
  • CMS製品開発/サポート

言語:

  • Perl
  • JavaScript
  • PHP
  • XMTML/HTML
  • CSS
  • MTML

フレームワーク/CMS:

  • Movable Type

何のことはない。製品開発・サポートとアクセシビリティがメニューに入っていることを除けばどこにでもあるWeb制作会社です。これくらいの言語扱えてCMSとしてMT使ってってとこだけ見たらこんな会社いっくらでもあります。会社はじめた頃先輩に言われたことあります。「Web制作会社って雨後のタケノコみたいに出来たり(なくなったり)するやん」。(付け加えて「何かお前のとこは違う、ってのは伝わってきた。けどそれが何かはわからんけど」とも言ってもらえたけど)。

当時はREALbasicとか使って簡単なデスクトップアプリ作ったり、ExcelとPhotoshop連携させて(AppleScript!)CMSっぽいワークフロー組んだりしてたのが特徴っていや特徴かもしれませんが。

さて、会社をはじめてしばらくはWebと名のつくものであれば何でもやってました。営業については人脈をたどり、紹介をもらい、イベントに出て行ってプレゼンし、BtoBサイトに登録して案件に応募してたりもしてた。上流から下流まで、コンサルから実装・開発まで。

でも、儲かんなかったですね。人も定着しなかった。一応、2003年から一回も赤字は出してない、という事実だけは胸をはっていましたけど、決して正しいことできてたわけじゃないですね。今はそれがわかる。

儲けはともかく人が定着しなかった理由について自分自身が思うところはこうです。自分自身は営業畑、マーケの人出身だけどどっちかと言えば自分で何でもやっちゃうところがあり、企画から外注の手配、進行の管理からバックエンドの実装までこなしてしまうようなところがありました。ひとつは、これをスタッフに求めたこと。もちろん同じレベルででけへんってのはわかっていましたけど、結局マルチにこなせて幅広い領域を個人がカバーできる会社は強いって、当時は本気で思っていたところがあります。

もうひとつは、上流工程や企画、提案の難しさです。単に難しい、というより、教えること、人を育てること、優秀な人材を採用することが難しい。大きな会社でも歴史のある会社でも、そういう人材を採用・育成するのに苦労してる。それをポッと出の知名度もないSOHOに毛の生えたような会社が採用・育成できるだろうか?

何度かターニングポイントがあり、結論出しました。「これでは無理」。

その頃、CMSやWebアプリの開発とかカスタマイズの仕事がぽつぽつ増えてきていました。当時のスタンスは、適材適所、パッケージは持たない、決めない、案件、顧客要求にあわせて最適なものを入れる。Xoopsにするか、Drupalにするか(<これは扱ったこと実際にあります)、はたまたMTか、Type3やMODxもある。「何でもこれで」「何でもMTで」ってのは間違った考えだと思っていたのです(ある見方をすれば今でもこれは正しいわけですが)。

ある案件でMTをベースに構築しました。かなり強引に拡張開発をして(初MTです)。2006年だったかな。で、問題は次の案件。納期は迫るのに実装方針やフレームワークもベースのシステムも決まらない。人手もない、かなりやばい。ここで「MTでいいじゃん」という判断をした。MT::Objectを使ってDBを扱う方法は前の案件でわかっていたし、プラグインやアプリの開発方法も何となく理解していた。何より3ヶ月くらいがっつり開発した案件の直後の案件です。

ということでMTに進みました。この件は単独でまた書きます。なぜMTだったのか。

とはいえ、MT取り組んでる制作会社ってたくさんあるし、ウチは他の会社と比較したら多分遅いほうじゃないでしょうか。個人的には3.3からのユーザーだし。

ただ、一点だけ(多分)他の会社と違うことをやった。管理画面に目を向けたことです。

多分、Web制作会社がMTをさわるってことは、MTMLでテンプレートを書くことです。少なくとも当時の使い方はそうでしょう。せいぜいがプラグイン探してきて放り込むくらい。実際にウチのスタッフもそうだった。でも僕は完成されたサイトのCMSを見て「なんて使いにくい」って指摘しました。

表示順を定義するためのフィールドに振られた数字。インデックスアーカイブに表示させるためだけのダミーエントリー、ダミーエントリーが吐き出すゴミファイル。ファイルをインクルードしたテンプレート(検索できない)。サイト・パスが同じブログがたくさん。入力はルールだらけ。

結局、MTだってJavaScript、Perl、MTML(当時はHTML::Template)で出来ている。なら、自分たちが持っているスキルをそこに突っ込んで、ユーザーにとってすぐれたCMSにしてやろう。

これが今から考えれば転機だったのでしょう。こういうことをやっている会社が当時はほとんどなかった。技術は公開されるサイトに向けられる。でもCMSで構築・運用するサイトのユーザーは、公開されたサイトのユーザーだけじゃないのです。CMSをさわるユーザーも大切なユーザーです。

Webアクセシビリティやユーザービリティの本? には当然のように書いてある。フォームの入力値の制限のうち、サーバーサイドで吸収できるものは吸収すべし。全角で入力したって怒らないでくれ。ところがCMSのドキュメントには入力する人が統一してね、って書いたりしてる。それが間違いだってんだ。

やってみると不思議なもので、そこに目を向けると(標題でいうところの「技術の向けどころ」)、できるんですよね。自分じゃなくても。ウチのスタッフたちが。で、こういうところはどんどん吸収して覚えていく。上手くなっていくんです。上流工程を教える難しさ、その部分で成長するスピードと比較にならないくらいスキルアップしていく。そりゃそうですよね。ある意味それがやりたい奴が集まってるんだもの。Web制作会社なんだから。

だから、(X)HTMLとCSSだけやってる人は先がないよ、みたいな話で、じゃぁディレクションに進むのか、とか悩んでる人がいたりする業界なわけですが、コーディング好きな人は生活のためとはいえ違うことしたいわけじゃないですよね。ここで書いたこと(マークアップエンジニアが次に取り組むべき5つのテーマ)と通じるんですが、「技術の向けどころ」を間違えなければ、実装屋にもチャンスはまだあるってことです。

で、ここでコンサルトか上流の仕事をきっぱりやめた。コンサルしない、営業も置かない。専任のディレクターも置かない。

話を戻します。「技術の向けどころ」という話をすれば、例えばウチで扱っている言語とか持っているスキルでどうやって食っていくかと考えたとき、向ける先は現状では限られますよね。

  • 受託で食う
  • 自社でサービス(またはメディア)を立ち上げてユーザー課金して食う
  • 自社でサービス(またはメディア)を立ち上げて広告で食う
  • OSS扱ってサポートで食う
  • ノウハウで食う(セミナー、書籍とか)
  • サーバー/ASP/Saasで食う
  • Webアプリをライセンス販売/サポートして食う

同じ技術を元に食っていくわけですが、食い方にも色々あるってことなのです。現状ウチの会社は上記の最初と最後でやっていってます。もちろんこれから別のこともやっていくことはあると思いますが、「何で食うか」だけでなく「どう食うか」っての「技術の向けどころ」なわけです。

少し長くなったので続編も書くかもしれませんが、もう一点だけ。

ウチの会社では「Power CMS for MT」ってのをリリースして間もなく2年。これまで120サイトで導入いただきました。

これ、OSSではないし、数万円のソフトでもありません。最低で20万円から、MTのライセンスも含めると25万円〜200万円(MTE込みだと)の製品です。昨年の秋に金融ショックがあって景気が悪くなるという話になりましたよね。この時、一つの予測と判断をしたのです。社内に向けてこう言った。

  • これからは、安いのが売れなくなるで。値段上げるよ。

WordPressもあるしMTOSもある。景気が悪い。だから20万円のは売れなくなるということです。じゃぁ、値段上げるのは何故か? 簡単です。20万円の予算は0になるけど、500万円の予算は0ではなく250万円になったりする。予算1,000万円の案件が500万円になったとき、500万円のCMSは導入できなくなるわけです。なので、200万円で500万円の製品と遜色ない機能や使いやすさを実現できれば、それは売れるんじゃないか、ということ。

で、今ですが予測は自分でも驚くくらいに当たりました。見事にそうなってる(安い価格のものは売れなくなり、高いもの(それでも競合よりは安い)が出ている)。何故、どのマーケットに、何を、どのように投入していくか。僕は技術者である前に経営者だから、それが面白い。「技術の向けどころ」を考えて、それが結果にはねかえってくるのが面白い。現場の技術者がそこで面白さを感じるかどうかはまた別の問題ですが、経営者とか上層部がしかめっ面してて楽しく仕事ができるかよ、って思うのですね。

もちろん、そこが伴わないと会社が存続しないし(どっかに買われればまだいい方だけど無くなっちゃったりするしね)、急にモノ一つ買うのにハンコが増えたり、賞与が続けて出なかったり給与がカットされて面白いかね? 面白くないと思う。

だから、やっぱりこう思うのです。

面白いのは「技術」(だけ)ではなく「技術の向けどころ」なんだって。

Web制作会社(アルファサード)をはじめて6年。まぁ小さな会社なりに色んなことがありました。9月も末、秋の気配ですね。設立は11月ですが、勤めていた会社を辞めたのが2003年の9月末なので、まもなく6年です。今日は(今日から何回かにわけて)、現在絶賛人材募集中 (1) (2) ということもあるので少しウチの会社のこととか仕事のこととか書いてみます。

最初は会社の名前について。

「アルファサード」の意味

最初にWeb制作会社をツクろうって決めたときはまだ「Webアクセシビリティ」って今ほど一般的じゃなくて、アクセシビリティに関するMLとかで一部のひとが議論してたりJIS化されるよ、みたいな話が出ていたくらいでした。広告制作会社のWeb担当、みたいな位置づけで仕事していた僕は、内製しないという当時の会社の方針から外注せざるを得なかったわけですが、上がってくるモノの「非アクセシブル」さに辟易していて、Web制作ってこんなもんなのか? っていう思いを持っていました。

当時からちょっとしたソフトウェア(HTMLエディタとかアクセシビリティの簡易チェッカーとか)を作っていた僕は、自分の息子がどうやら色覚異常(第一色覚異常)であることから色のことを勉強して小さなソフトを作ったりしていたのです。

で、こういうことを大切にしてWebサイトを作るっていう会社を作ろうと思って1人で会社をはじめたのが2003年11月。ちなみに、某インキュベーションオフィスの入居者面談で、「こんなコンセプトでやっていけるわけないやん」って言われて結局そこには入居しなかったというエピソード?があります。インキュベーションマネージャのNさんには悪いことしました。「そんな大人げないこと言わんと」って。当時からついカッとなって行動してたんですね。あー痛い。

「アルファサード」ってのは「α」と「ファサード」をかけあわせた造語なんですが、名前決めたときは3日程ネーミングの本と辞書を交互に見ながら頭ひねって考えたんですね。ネーミングの本の一節に「英語以外の言語」「2つの単語のかけあわせで造語をつくる」ってのがあって、ひとつエスペラント語の「ファサード」って言葉が自分に響きました。

僕はエスペラント語にユニバーサルでニュートラルなイメージを持っていたし、結構ネーミングには使われているんですよね。シビック・フェリオ(Ferio=休日)とかヤクルト(jahurto=ヨーグルト)とかもそうらしいです。で「ファサード」って言葉が「建築物の正面(デザイン)」を指していて建築においては「最も目に付く場所であり、重要視される。」という意味を持つとともにエスペラント語ではコンピュータ関連の用語で「ユーザーインタフェース」という意味を持っているのです。これに「α(一番目)」をくっつけた。ちなみにエスペラント語のアルファベットは「alfabeto(アルファベート)」と呼ばれるらしい。

だから何だってことはないのですが「アルファサード」っていう、何だかわからないんだけど意味のありそうな名前? はこうして決められたのです。

オフィスは自宅の一室、中古のデスクに黒いペンキ塗ってまぁあれはあれでお洒落だったと思うけど。

ちなみに、2003年の秋ってのは、シックス・アパートさんの日本法人が出来たのとほぼ同時期ですが、当時はまったく接点もなく、ココログでブログをはじめたくらいです。平田さんの本は買って読んでいたもののサーバーインストール型のツールを触るモチベーションが当時あまりなくて、やっていたらハマっていて違う展開になっていたかもしれませんが、今となってはまぁいいや、という感じです。

以下、ひきつづきこんな感じで少し続けてみたいと思います(内容は変わるかもしれませんが)。

  • Movable Typeに特化した訳
  • 面白いのは「技術」ではなく「技術の向けどころ」
  • CMSにはまだやるべきことがある
  • 「人」と「組織」の考え方
  • アルファサードのこれから

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