2004年8月アーカイブ

Web制作、1ページいくら? という聞かれ方をするケースはさすがに減ってきたように感じる。

一方で、制作をお願いする場合に「見積もり出して」に対して、提示してもらえないと自分から判断するのは難しい、というデザイナーがいる。

理由はわからなくもない。つまり、見積もりを出してもまずそのまま通ることがない、あるいは見積もりを出すことすらかなわずに「いくらでやって!」が先にある、また、その価格もお客によって大きな差がある、ということから、いざ「見積もり出して」に対して的確な答えが出せないのだろう。

見積もりの考えかたには色々ある。

  1. コストは原価から決まる
  2. コストは市場価格できまる
  3. コストは仕事が生み出す「効果」「価値」できまる

どれも正しいと思う。
1.はつまり、これこれのコスト (もちろん労働時間もコストである) がかかったから、当社が正当な利益を出すためにはこれだけ必要です、という考え方だ。
原価に対して法外な見積もりを出すのでなければ、わりと良くあるパターンではないだろうか。

2.は、他社がだいたいこれくらいだから、うちもこれくらい、ということ。
一般的な「もの(消費材とか)」のコストであれば、大切な考え方だと思う。
仮に、市場価格より高いコストが生産にかかってしまうようであれば、生産力が低い、ということ。

発注する側としてはわかりやすいかもしれない。
ただ、Web制作のような「ソフト」の場合、また同じものが他にないカスタムメイドのものを作る場合、比較対象がそのそも曖昧であるため、これは現実的ではないと思う。1ページいくら、といっても、5社があれば5社とも同じものをつくることはありえないからだ。

3.は比較的新しい考え方かもしれないが、個人的にはこれが最も納得できる。
つまり、そのWebサイトはいくら稼げるか、どれだけの効果をもたらせてくれるか、その価値が高いものは高く、価値が低いものは安く提供しなければならない。

流行りのアフェリエイトなんかはこれに近い。これだけ売れたから、これだけ下さい。価値がお金に換算されるのだから (何%がサイトオーナーのものになるのが適正なのかについてはまた別問題)。

普段は1.と3.の両方のバランスを考えて見積もりをつくるようにしている。2.についてはあまり考えない。1.3.をきちんと考えれば、2.についてもそう大きくギャップが生じることは無いと考えているせいでもあるし、無茶苦茶に安い金額で粗悪なものを作る人におつき合いする気も無いからだ。

「原価」と「価値」で価格が決まるわけだが、この2つが一致しない場合はどうするか。

  1. 「原価」>「価値」の場合
  2. 「原価」=「価値」の場合
  3. 「原価」<「価値」の場合

1.のケースでは受注をあきらめるか、それでもやりたければ原価割れしてでも値下げするしかない。
生産コストに見合った価値をこちらが提供できないのだから、これでは仕事は受注できない。
仕方のないことである。原価が下げられるように、また高い価値を生み出せるように努力するしかない。

2.の場合は双方納得である。この価格で受けるのが理 (利?) にかなっている。

あとは3の場合。

(「原価」+「価値」)÷2 で行きたいと思う。

1の原価で2の価値を提供できる場合に1.5で見積もる。

制作効率が良い、効率の良いワークフローを確立している、等の理由で原価が安いならば、コストは下がる。ただし、価値が高ければそれもコストに反映する。

具体的に書けば、以下のようになる。

  • 例えば他社が原価ベース100万円でできるコンテンツを
  • 当社なら40万の原価で提供できます。
  • 当社は他社の1.2倍 (120万円のコンテンツ相当) の「効果」「価値」を提供できます。
  • よって、(40 (原価) + 120 (価値) )÷2 = 80 でお見積もりします。

クライアントは他社より20万安く、2割効果の高いコンテンツを手に入れた。
当社は原価の倍の利益を得られた。

この、3.のようなケースをどれだけ増やせるか、が大事だと思う。

このようなケースを増やすためには、自分たちの仕事の「効果」「価値」を正しく把握し、且つ正しく納得行くように (広告主に) 説明できるだけの力を持っていなければならない。工夫と知恵で原価を下げる力も持っていなければならない。さらに、当然だが効果の高いものを作れる能力がなくてはならない。

そして、見積もりは丁寧に、心をこめて作るべきだ。
どうすれば原価を下げつつ効果の高い成果物を納品できるか。見積もりにはその会社の持つ様々な側面が反映されるのである。

# と、いうことで1ページいくらでお受けいたしましょう?

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